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自他ともに認める“昭和顔”の松岡茉優 目指すは「複雑な味のする女優」

著者:関口 裕子

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『騙し絵の牙』(c)2021「騙し絵の牙」製作委員会 2021年3月26日(金)全国公開
『騙し絵の牙』(c)2021「騙し絵の牙」製作委員会 2021年3月26日(金)全国公開

 今年26歳を迎えた松岡茉優さんは8歳の時に事務所入り。13歳で朝番組のレギュラーを経験した後は、映画やドラマに多数出演しています。個性的で“他者から見ると少し変わった人”を演じる機会も多いですが、鑑賞者に安定感を覚えさせる理由はその“昭和顔”にあるのかもしれません。そんな松岡さんの映画最新作は老舗出版社の新人編集者を演じる『騙し絵の牙』。出版業界の“濃い”人間模様と事件の中で、小気味良い演技を見せているようです。松岡さんが目指す女優像とはどんなものか? 映画ジャーナリストの関口裕子さんに解説していただきました。

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芸歴18年 “少し変わった人”を演じる機会も多数

 松岡茉優は平成生まれだが、自他ともに認める“昭和顔”だ。3度、一緒に作品を作っている『勝手にふるえてろ』(2017)の大九明子監督は、「歳はずいぶん離れているけれど持っている言語が似ていて、任せられる存在」と語っている。

 芸能界入りのきっかけは、スカウトされた妹の面接に同行したこと。8歳で事務所に入り、現在、26歳だが芸歴は18年となる。本格デビューは、13歳の時。「おはスタ」(テレビ東京)でおはガールを務めた。

 2012年、吉田大八監督のスマッシュヒット『霧島、部活やめるってよ』の女子生徒役で印象を残し、2013年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」ではアイドルグループGMTの責任感の強いリーダー役で全国区に。2016年には三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ「真田丸」に出演。おっとりしているようで嫉妬心の強い真田幸村の正室・春を堂々演じた。

 松岡はこれまで没頭型とでも言うような“自分の中だけで思考が終始し、他者から見ると少し変わった人”を演じる機会が多かった。そのスキルがあるから似たキャラクターのオファーが増えてしまうのだろう。

『勝手にふるえてろ』のヨシカはその最たる役かもしれない。自問自答、心の声との対話……一人芝居に近いそんな演技は相手俳優のアクションがない分、演じるのが難しい。でも松岡はそれを、まるで元々没頭型であるかのように難なくこなす。本当に自覚的“演技”なのに。

 カンヌ映画祭パルムドールを受賞した是枝和裕監督の『万引き家族』(2018)では別人かと思うほど線の薄い“JK見学店”で働くティーンエイジャー、亜紀を演じてみせたし、世界的ピアノコンテストに挑戦する天才少女・栄伝亜夜を演じた『蜜蜂と遠雷』(2019)ではまず自分の世界に深く沈みこみ、時間の経過とともに“演奏”で観客と意識を通わせるだけで少女から大人へと変化を表現してみせた。