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からだ・美容

性行為に対する“罪悪感”はどこから来るの? ラブライフアドバイザーと考える性

公開日:  /  更新日:

著者:yoshimi

教えてくれた人:OliviA

今の自分の世代にあった情報を組み込んで考え方をアップデートしていく

 先ほど、親の価値観を引き継いでいるとお話しましたが、よく考えると、それは20歳以上も上の価値観ですよね。かなり“古めかしいもの”を思春期に押し付けられている可能性があります。今の時代の価値観にアップデートすることも大事ですが、今の自分の世代にあった情報というものも組み込んで、自分の中で再形成していく必要があるとも思います。

 例えば生理の話題なども最近はオープンになってきていますが、「オープンに!」と言いすぎて逆に「隠したい人もいるんじゃないか」というバックラッシュ(反動)も出てきています。もちろん、性の捉え方は人それぞれですし、全員にオープンさを押し付けるのも違うでしょう。

 だからこそ、ちょっと恥ずかしさを持ちつつ、自分の性に接するのがいいのか、すべてさらけ出したいのか、自分の中で心地いい距離感を見つけてほしいなと思います。

 ただ、恥ずかしいがゆえに体調の異変に気づけなかったり、婦人科検診から遠のいたり、健康被害を招いてしまうケースは一番避けたいことなので、性行為にまつわる恥ずかしさと、自分の性機能の恥ずかしさは“別問題”だと考えてみてはいかがでしょうか。性の話=いやらしいことではなく、健康に関わる性、パートナーシップに関わる性、いろんな性の話題があって、捉え方も違う。自分の健康とも向き合いながら、性について考えてもらいたいです。

比較できないから悩む 性についての価値観は人それぞれ

 私のところへ相談にいらっしゃる方は、「もっとパートナーとの関係を良くしたい」というポジティブなタイプと「痛くて性行為が嫌だ」「罪悪感が拭えないのはおかしくないですか?」というタイプ。両極端なんです。だから、「価値観は人それぞれですよ」というお話をすることが多い。「自分を卑下しないでください」といったことをお話ししています。

「“普通”ってなんですか?」という質問もすごく多いです。「自分の性生活や性行為は普通ですか?」という感じで、やっぱり他人と比較できないから悩んで相談する。

 以前、オランダのメディアから取材を受けたときに、オランダでは性教育が進んでいるから性についての話題を恋人とはもちろん、友人とでも親とでもする。だから、「誰にも話せないからセックスカウンセラーを頼る」ということは少ないというお話を聞きました。

 日常会話の中で性の話をオープンにするオランダ。そのことに、感慨深いというか、文化圏の違いを感じたんですけど、日本でも安心して話せる場所があれば、「隠したい」と普段思っている人に対しても悩んだ時の救いになるのかなと。今回の連載も、そういった場所のひとつになればなと思っています。

(yoshimi)

OliviA(オリビア)

1980年生まれ。ラブライフアドバイザー(R)、アロマセラピスト、日本性科学会 会員。学生時代に「女性の性」をテーマに卒業論文を執筆したことをきっかけに、2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動を開始。台湾でも書籍を出版するなど、日本のみならず海外にも活動の幅を広げ、多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行っている。近著に「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)など。