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作中での裸も「必要であれば」躊躇しない瀧内公美 仏名女優との共通点とは

著者:関口 裕子

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裸体になるより難しいこと…フランスの名女優に共通する部分とは

(c)2020映画「裏アカ」製作委員会
(c)2020映画「裏アカ」製作委員会

 ふと思い出したのは、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した『美しき諍い女』(1991)のエマニュエル・ベアールだ。べアールは同作の8割ほどを全裸で演じたが、そこでは全裸のモデルと画家による“セックス以上の赤裸々な感情のせめぎ合い”が描かれる。

 そのベアールと瀧内とは、作品への向き合い方が似ているように思う。心の底まで見せることを“丸裸になる”というが、裸体になるより心をオープンにする方が難しいと理解しているというか。

『裏アカ』で真知子はそのアカウントのせいで窮地に陥る。真知子と同じでなくとも、私たちは時に“消えてしまいたい”と思うような状況に直面することがある。そんな時に我々はどう対処すべきか? それがこの映画の1つの肝であると思う。失敗は終わりじゃない。ラストは、その事態をいかに解決するか躍動感をもって描かれる。

 その場面において、瀧内は重要な提案を監督にしたという。真知子をがんじがらめにしているものを自分の意思で手放すことをより強調するというアイデアだった。

 演じる仕事を始めてまだ10年余りだが、着実な成長を見せる瀧内公美。それは、一つひとつ、丁寧な仕事ぶりがもたらしたもの。すごい。次はどんな人物を演じ、何を生み出すのか。予測もつかないところが興味深くてならない。

 
『裏アカ』4月2日より全国にて公開 (c)2020映画「裏アカ」製作委員会

(関口 裕子)

関口 裕子(せきぐち・ゆうこ)

映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。