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公共交通機関の背もたれ、どこまで倒していい? 実際にあった恐怖のトラブル

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

前の背もたれで立ち上がれない 飛行機で遭遇した座席トラブル

 バス同様にシートの間隔が狭いのが飛行機。エコノミークラスの座席に乗ってトイレへ行く時、困った思いをした人も多いのではないでしょうか。

「どこまで倒すか問題」で楽しいはずの家族旅行が台無しになるところだったと語るのは、関東在住の憲子さん(仮名・42歳)。数年前の夏、一家4人で沖縄へ行くことに。初めての飛行機にワクワクしている子どもたちとおしゃべりをしていると、憲子さんの前の席に座っている男性が「シートを下げてもいいですか?」と聞いてきたそうです。

「そう聞かれて『嫌です』って断るわけにもいかないので『はい』って答えると、その男性はすごい勢いでシートを一番奥まで下げてきたんです」

 飛行機は左右3列ずつになっているタイプで、窓側に子ども2人が、通路側に憲子さんが座り、通路を挟んだ反対側に夫が座っていました。仕方なく憲子さんは自分が座っていた椅子のリクライニングを下げ空間を取りましたが、困ったことが起こったのはそのすぐ後のこと。

「子どもがトイレに行きたいって言い出したんです。そのためにはまず私が席を立つしかないのですが、前の背もたれが邪魔で立ち上がれませんでした。そこでその背もたれを掴んで横にずれながら立ち、子どもたちも同様に掴んで移動したんです。すると、そうやって触られるが嫌だったのでしょう。その男性が急に怒り出したんです」

 客室乗務員がすぐに駆け付け、男性を別の席に誘導してくれたおかげでその後は快適に過ごせました。しかし、男性の態度には今でも納得がいかないといいます。

「まるで私たちが非常識かのような態度でしたが、狭い機内であれほど背もたれを倒す方がおかしいのでは、と思いました。飛行機に1度でも乗ったことがある人なら分かると思いますが、背もたれをいっぱいまで倒されたら、後ろに座っている人は誰だって、前の椅子に触らずに立ち上がることなんてできません」

 ネット上では「リクライニング機能が付いているのだから、深く倒してもいいはず!」という意見を見かけることがあります。しかし、それはとても乱暴な考え方でしょう。背もたれを倒す際には後部座席の人に配慮して、ほどほどに倒すことを心がけるのが大人のマナー。公共交通機関では、常にお互い思いやりや譲り合いの精神を持って利用をしたいものです。

(和栗 恵)