仕事・人生
“獣医さん”になるにはどうするの? イケメン獣医師、人生の転機とは
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獣医学部生の就職活動 レトロな実態に驚き
一口に獣医と言っても、その仕事は多岐にわたります。長谷川先生のような犬猫など小動物の臨床医や馬や牛など大動物の専門医をはじめ、製薬や食品の企業、動物園や水族館、さらに保健所や検疫所などの公務員を目指す人も。“動物のお医者さん”としてだけでなく、感染症対策や畜産業の発展など、実のところ獣医師は私たちの日常生活や健康、社会に深く関わり、陰から支えてくれています。
「あまり知られていませんが、かなり幅広く専門的な知識が必要なため、まったく興味のない科目も勉強しなければいけないのは大変かもしれません。動物好きで目指す人が多いけれど、実際には在学中に犬猫と触れ合って学ぶことはほとんどありませんでした。とはいえ、強い意志で進学してきた人が多いので、退学したりする人はほとんどいない印象ですが」
長谷川先生自身も入学するまでは、これほどさまざまな科目を勉強することを知らなかったそう。そして当時はまだ、将来の働き方について考えたことがなかったといいます。
「就職について真剣に考え始めたのも、大学卒業ギリギリでした。獣医師の就職活動というと、個人で病院に連絡を取って実習に行かせてもらったところを受けたり、大きな病院だと大学で開かれる説明会に出席したりします。そのため案外レトロなやり方で募集しているところが多いです」
就職を目前にして、さまざまな葛藤も生まれました。長谷川先生は6年間学ぶ中で、臨床医の仕事に対して魅力を感じなくなったことも一時的にあったそう。
「犬猫の臨床医は、3K(汚い、きつい、危険)だと一般的に言われています。拘束時間も長く、給料はそれほど良くないので(笑)、公務員を目指そうか迷った時期もありました。でも元々動物好きなので就活直前にはたと立ち止まり、もし向いていなかったとしてもまずは臨床医を経験してみた方がいいと、方向転換しました」
こうして長谷川先生は、小動物臨床医としてのキャリアを積み始めます。そして、受験時は猛反対していたご両親も、長谷川先生が獣医として国家資格を取得して働き始めると、心から応援してくれるようになっていました。
「もしお子さんが獣医を目指していたら、反対しないであげてほしいですね。獣医は強い気持ちがないと絶対に続かない仕事です。その気持ちを維持してあげることが大切なので、頭ごなしに否定しないであげてください」
高度な獣医療ニーズが高まる一方で、家庭犬の飼育頭数が減少するなど、変化が著しい獣医業界。しかし、獣医師がカバーする仕事範囲は広く、さまざまな向き合い方ができます。次回は、長谷川先生の現在の働き方について紐解いていきます。
獣医師。北里大学獣医学部獣医学科卒業。主な診療科目は内科(猫)、予防医療。ペット関連事業コンサルティング業「Ani-vet」代表。ウェブ媒体を中心に記事の執筆や監修、講演活動を行う。また、往診専門病院「レイクタウンねこ診療所」院長として、保護猫施設を訪問。ヤマザキ動物専門学校講師も務める。北里大学獣医学科生化学研究室研究生。
(Hint-Pot編集部・白石 あゆみ)