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仕事・人生

イケメン獣医師 パラレルキャリアを始めたきっかけは「自身の能力を見限ったこと」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・白石 あゆみ

【写真:荒川祐史】
【写真:荒川祐史】

将来的には里親の“後見人”のような制度作りを

 また、長谷川先生には、往診専門病院「レイクタウンねこ診療所」院長としての顔もあります。この活動は昨年から。知人から近場に保護猫シェルターがあることを聞き、お手伝いをするようになりました。

「保護施設を往診してくれる獣医師はなかなかいないんです。検査や治療はほとんどできませんし、往診でできることは限られています。ですから、施設で何とかなるかならないかを診断することやワクチンなどの簡単な処置が主な業務ですね。ワクチンが病院でしか打てないとなると、1頭ずつ連れていくのはかなり大変なことなので」

 長谷川先生ご自身も現在、3匹の保護猫と暮らしています。そこでゆくゆくは、譲渡の際の保障機関のようなものを設立したいと考えているといいます。

「近年、保護猫は社会的に認められつつありますが、いざ迎え入れようとすると制限が多いのが現状です。もちろん猫を守るために厳しい条件を設けることは必要ですが、本気で引き取りたいという気持ちがあっても壁になっている場合が。そこで何かあった時に手助けできる、後見人のような制度を作りたいと思っています。まだ知り合い同士で話をしている程度なのですが……」

幅広い活動の理由は「自分への見限り」

 アグレッシブに活動の幅を広げ続ける長谷川先生に、そのコツをお聞きしました。すると、「無計画でいいから、とにかくやってみよう」の姿勢が大切とのこと。

「計算高いことはできないのでまずは始めてみて、限界が来たらその時に考えようと思っています。働き出してからは、獣医師の資格を使ってますますいろいろなことに挑戦しようと思うようになりました」

 獣医師を目指してから挫折を感じたことはなく、むしろ現在の活動にはすべて“前のめり”で向かい合えているのだとか。

「幅広い分野に携わるようになったきっかけは、自分が深く専門性を持ったとても有能な獣医師にはなれないだろうなと、自分自身を見限ったことです。そこで自分のできることを考えた時、『飼い主さんが病院へ行くきっかけ作りならできるのではないか』と思いました。知識の啓発で入り口作りができれば、それぞれが適切な病院を選ぶことができ、結果的に多くの命を助けることができると。より広く周知していくことは今後の大きな目標です」

◇長谷川諒(はせがわ・りょう)
獣医師。北里大学獣医学部獣医学科卒業。主な診療科目は内科(猫)、予防医療。ペット関連事業コンサルティング業「Ani-vet」代表。ウェブ媒体を中心に記事の執筆や監修、講演活動を行う。また、往診専門病院「レイクタウンねこ診療所」院長として、保護猫施設を訪問。ヤマザキ動物専門学校講師も務める。北里大学獣医学科生化学研究室研究生。

(Hint-Pot編集部・白石 あゆみ)