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弥生時代から存在 東京・下町の老舗が語るお菓子「おこし」の魅力

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著者:Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔

弥生時代から存在する「おこし」。ダイエットにも効果的【写真:荒川祐史】
弥生時代から存在する「おこし」。ダイエットにも効果的【写真:荒川祐史】

 コロナ禍でおうち時間が増える中、家での時間を持て余している家庭も多いのでは。そんな長引くおうち時間のおともに、親子で手軽に作れるバラエティ豊かな和菓子はいかがでしょうか。弥生時代から存在し、現在は家庭でも気軽に作れる「おこし」について、東京・荒川区で3代続く老舗おこし店「丸文製菓」の細谷誠代表にお話を伺いました。

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菱おこしを今なお作れるのは関東で1人だけ?

 脱穀した米や粟、小麦などの穀物を原料としたおこしの“種”を砂糖や水飴で固めて成形して作るおこし。その歴史は古く、大陸から稲作が伝来した弥生時代までさかのぼるといいます。

「元々は豊作祈願のお供え物で、『興し』や『起こし』という字をあてることもある縁起物。東京では浅草の雷おこしが有名ですが、関西の岩おこしや粟おこしなど、全国各地にありますね」

 丸文製菓でおこし作りを行うのは、細谷さんの叔父にあたる海老原利幸さん。18歳から工房に立ち、おこし職人歴50年を超える大ベテランですが、「勘でやっていると、たまに失敗することもありますよ」と笑います。それでもピンク、白、緑の3色を1つに重ねた“菱おこし”を今なお作れるのは関東で海老原さんだけという、すごい職人さんです。

丸文製菓でおこし作りを行う海老原利幸さん(左)と細谷誠代表(右)【写真:荒川祐史】
丸文製菓でおこし作りを行う海老原利幸さん(左)と細谷誠代表(右)【写真:荒川祐史】

「難しいのは煮詰め。おこしの種を熱した砂糖蜜や水飴で固める工程ですが、その日の気温や湿度によっても加減が違う。温度が低いとニチャニチャと歯にくっつく仕上がりになってしまい、高いと固くなってしまう。その火加減が難しい」

 特におこしの大敵となるのが湿度です。湿度が高いとなかなか固まらず、夏場は工房の中が砂糖でベタベタになってしまうこともあるとか。とはいえ、家庭で挑戦する分には多少失敗しても十分おいしく食べられ、むしろ仕上がりの違いが楽しくもあります。

 また、味も豊富で、メープルシロップやゴマ、青海苔、ブラックペッパーやバターしょうゆなど、加える材料1つでバラエティ豊かなアレンジが楽しめるのも魅力の1つ。完全無添加で安心、材料次第ではダイエットにも効果的なお菓子になるといいます。

 丸文製菓はオンラインでのおこし作り体験イベントを行うなど、おこしを多くの人に知ってもらうための活動も行っています。出来立ては“サクッ”と軽い口当たりが、時間が経つにつれて“ザクザク”に変わっていく食感も楽しいおこし。親子でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(Hint-Pot編集部・佐藤 佑輔)