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武井咲が「るろうに剣心」シリーズで映画復帰 結婚・出産を挟み役とともに生きた10年

著者:関口 裕子

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(c)和月伸宏/集英社(c)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
(c)和月伸宏/集英社(c)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

 結婚と出産を経て、今年1月にスペシャルドラマ「黒革の手帖~拐帯行(かいたいこう)~」(テレビ朝日系)で3年ぶりにドラマ復帰を果たした武井咲さん。そしていよいよ、大ヒットシリーズの最新作『るろうに剣心 最終章 The Final』で映画にも復帰します。足かけ10年を同シリーズのヒロイン、神谷薫として生きた武井さん。スクリーン上にはその10年で成長した武井さん自身の姿も感じられるようです。映画ジャーナリストの関口裕子さんに解説していただきました。

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「るろうに剣心」シリーズとともに約10年を過ごした武井咲

 2017年にEXILEのTAKAHIROとの結婚を発表し、2018年に第1子を出産。俳優活動を休止していた武井咲が、まもなく公開になる「るろうに剣心」シリーズ最新作『るろうに剣心 最終章 The Final』で映画界に復帰する。

 デビューのきっかけは、中学1年の時に応募したオスカープロモーション主催「第11回全日本国民的美少女コンテスト」。モデル部門賞とマルチメディア賞をダブル受賞し、集英社のティーン向けファッション誌「Seventeen」でモデルデビューした。

 落ち着いたイメージがあるため年齢よりやや上に見えるが、2012年にシリーズ第1作『るろうに剣心』が公開された時はまだ17歳。武井は撮影期間も含めて約10年の歳月を、このシリーズとともに神谷活心流師範代・神谷薫として生きた。

 シリーズ全作のメガホンを取る大友啓史監督は、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010)や『プラチナデータ』(2013)など、リアリズムとこだわりの美学で知られる。“役を理解しないまま撮影現場にいることを微塵も許さない”という勢いの大友監督の考え方に相対し、武井はさぞ大変だったのではないか。

 その現場を乗り切っただけでも、俳優としての矜持を感じる。最初から乗り切れそうもない俳優が配役されるはずもない、ともいえるが。

知らないことを知らないと率直に認めるその人柄は役柄とも共通

 そんな武井だが、デビュー時は俳優になることは考えていなかったという。ただ手にした“演じる仕事”には「チャンスをもらったからには形にしたい」と食らい付いた。それを繰り返すことで現在の“武井咲”は生まれた。

 その武井のチャレンジ精神は、私たちもマネしたい、トライしたいと考えるものでもある。こうなりたい、と思い描いた通りになれる人などごく一部。目の前にある課題を少しでもいい形にクリアしていくことでしか、未来への道が切り拓かれることはないからだ。

 武井は「どうなりたいか?」ではなく、さまざまなことを感じ取り、それを体現できる俳優でありたいという。「経験という型にはまることなく、慣れた感じで過ごすことなく、いただいた役を“生きてみたい”」と2014年夏に公開されたシリーズ第2作『京都大火編』と第3作『伝説の最期編』の際に語っていた。

 中学生の頃から芸能界で仕事をしているからこそ、現実社会で知らないことは多いと理解しているという。だからまずは自分というものを脇に置き、自分ではない人物を“生きる”ことに没頭するのだと。

 知らないことを知らないと率直に認めるその人柄は、偶然にもこのシリーズで演じた薫と似ている。怪我を負ってなお敵と戦おうとする薫は、敵との力の差を剣心にいさめられて素直にそれを認めるのだ。