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離婚、SNSの誹謗中傷、ハラスメント…人生につきもののトラブルを大きくしないコツ
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弁護士への相談は難しくない 体調が悪かったら医師にかかるような感覚で
離婚や不倫、ストーカーやセクハラ、性犯罪など男女間の問題なら弁護士に相談することで、法的に解決できる部分があります。大ごとにするようで抵抗を感じる、相談料の金額が高いと感じている方も多いと思いますが、法律相談の相場は30分5500円です。
コロナを機にZoomやスカイプ、LINEのビデオ通話を使った、オンライン相談を導入している弁護士も増えています。相談したら依頼しなければならないわけではありません。相談だけで解決して依頼せずに済めばその方がいいわけですから、“困り事”を抱えたら放置せずに、体調が悪かったら医者にかかるような感覚で、弁護士に相談するという選択肢を持たれてはどうでしょうか。
“困り事”というのは複合的で、弁護士は慰謝料請求などをして法的手続きを取れたとしても、「夫への憎しみで苦しい」「不倫されて精神的に不安定になっている」などといった心の状態を晴らせるわけではありません。心のケアにはカウンセリングを受けるよう勧めたり、または別の相談窓口を紹介したりするなど、複合的な問題を解きほぐし、問題の交通整理ができる場合があります。1人で悩むより、専門家に相談すると、より良い解決に早くつながる可能性があるわけです。
また、いったん依頼しても、「この弁護士とは合わないな」「この解決方法で本当にいいのかな」と途中で思えば、セカンドオピニオンを他の弁護士に聞きに行くことも自由にできます。美容師や医師でも別のところへ行ったりするように、弁護士にも気軽に相談できるようにしてもらいたいですね。
被害者が加害者に遠慮し、被害者に我慢を強いる傾向になるのはなぜ?
職場の上司や同僚にセクハラやパワハラを受けた、不当解雇された、といった職場でのトラブルなら、会社の相談窓口や労働基準監督署などに相談窓口があります。
セクハラやパワハラをした上司や同僚が「怒るんじゃないか」「職場にいづらくなるんじゃないか」と相手のことばかり配慮する人も多いのですが、被害者なのに加害者に遠慮する必要はありません。「される方が悪い」と言う人もいますが、そういった考え方が声を上げにくい世の中にしているのだと思います。あくまでも悪いのは加害者なのです。困ったことをされている場合には、「やめてください」などと声を上げればいいのです。
被害者が加害者に遠慮し、被害者に我慢を強いる傾向になってしまうのはなぜなのでしょうか。幼少期からのしつけや教育で「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」などと言われ続けて育ち、「自分の気持ちや意見を出すのはわがままじゃないか」と思ってしまう。また、いつも「ああしなさい」「こうしなさい」と言われて育ったため、いざ自分が「こうしたい」と思った時にどうしたらいいか分からない、といったさまざまな背景があるのかもしれません。
ですが、自分の人生ですから、自分を守れるのは自分しかいません。自分が生きやすいように我慢ではなく解決する人、自分らしく生きることを確保する決意を持つ人が多くなってほしいと思います。
1976年10月24日、京都府出身。東京大学法学部卒。立命館大学法科大学院を経て2009年、司法試験合格。翌10年、弁護士登録。京都を拠点に弁護士業に携わる。15年に結婚し長男出産。17年には東京へ拠点を移し(第一東京弁護士会所属)、21年3月には東京・渋谷区に「三輪記子の法律事務所」を開設。各種ハラスメント問題や離婚・男女トラブルなどのエキスパートとして活動している。また、報道・情報番組のコメンテーターとしても多数の番組に出演中。21年4月、「これだけは知っておきたい男女トラブル解消法」(海竜社)上梓。
(中野 裕子)