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仕事・人生

元“歴ドル”は年商3000億円を目指す会社社長 芸能界を引退した驚きの理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

新しい形の家事代行サービス「東京かあさん」を立ち上げた理由とは

来年度は年商1億円超が目標【写真:山口比佐夫】
来年度は年商1億円超が目標【写真:山口比佐夫】

 弊社「ぴんぴんころり」は自己資金100万円と、VC(ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業に出資する投資会社)やエンジェル投資家などから資金調達をして立ち上げました。サービス内容は家事代行やベビーシッターが近いのですが、違いは“提供するサービスに制限を設けない”という部分です。

 掃除なら“掃除しかやらずベビーシッターはやらない”ではなく、一つひとつに専門性はないけれど、“子どもがお母さんに頼むようなこと”は何でも頼める。そういった柔軟性や幅広さが、弊社が提供するサービスの売りです。現在は東京を中心に神奈川、千葉、埼玉の1都3県で340人の“お母さん”にご登録いただき、110人の“お子さん”にサービスをご利用いただいています。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年度と今年度は厳しかったのですが、この3月からはコロナ前にまで盛り返していて、来年度は年商1億円超、今後は男性シニアの就労支援などあらゆるカタチでアクティブシニアの就労支援、生きがいを創出していきたいという展望があり、10年後、20年後になるかもしれませんが、将来的には3000億円を目指しています。それだけ、皆さんに求められているサービスなのだと自信を深めているところです。

「東京かあさん」は元々、私が大好きな母方の祖母が仕事を辞めて元気をなくしていく姿を見て、何歳になっても元気でいるには仕事が大事だと感じ、「シニアにお仕事を提供したい」と思って始めたサービスです。登録している“お母さん”は70代の方も3割いて、平均年齢は67歳。「この仕事が生きがいだ」と言っていただいています。

「ぴんぴんころり」を起こす前の12年にも歴史グッズの通販会社「黒船社中」を起こしましたが、今は他社へ委託して新商品の企画などに携わっているぐらいです。芸能活動をしながらアパレルブランドを立ち上げたりする方はいますけど、私のようにまったく芸能とは関係ない会社をスタートアップで起業する例はあまり聞きませんよね。そういう意味では、私は他の芸能界の方とは少し考えていることが違っていたのかもしれません。

 私は父や叔父が会社を経営しているので、起業は身近な感覚で、いつか私もやってみたいと早くから思っていました。でも、起業のやり方は父たちの世代とはかなり違うので、「黒船社中」を起こした時は知り合いに税理士さんを紹介してもらって相談したり、法務局に行ったりして学んでいきました。

 そうするうちに起業家仲間が増え、友人が経営する会社に役員として入りスタートアップのお手伝いをすることなどで知識と経験も増え、今に至ります。「東京かあさん」のサービスは、私自身が「ちょっとした時に頼れる人が欲しいな、実家がそばにあったらな」と思ったり、区のシルバー人材センターで家事サポートを利用したりした経験がアイデアのヒントになりました。