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暴言客や「驚くほど話を聞かない」高齢者 悪質“カスハラ”の実態

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

社会問題化する「カスハラ」(写真はイメージ)【写真:写真AC】
社会問題化する「カスハラ」(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「お客様は神様です」――この有名なフレーズの本来の意味は、店や企業に対するものではありません。しかし悲しいことにクレーマーの常套句として使われることがあるようです。現在、店や企業に理不尽なクレームをつけたり、過剰な要求をする「カスタマーハラスメント」が社会問題になっています。実際に“カスハラ”を受けたことがあるという女性2人の体験談をお届けします。

 ◇ ◇ ◇

レジにも届かない幼児を1人で大行列に並ばせる父親

 東京都在住の亜依さん(仮名・32歳)は、学生時代、アルバイト先のファストフード店で40代男性から突然怒鳴られた経験があるといいます。

 それはゴールデンウィーク真っ最中のこと。店内はとても混雑しており、4台あるレジはフル稼働。注文者は1列で並んで待ち、空いたレジへ列の先頭の人に進んでもらう、いわゆる「フォーク並び」で対応していたのだそう。

「人の列で入り口が見えないほど混んでいたので、1秒でも早く対応しようと必死でした。すると突然、見知らぬ男性が近付いてきて、ものすごい声で怒鳴られたんです。相手はものすごく興奮しているようで、何を言っているのか全然聞き取れない状態。思わずポカーンとしてしまいました」

 亜依さんは謝りながらよくよく話を聞いてみると、どうやらその男性は、3歳ほどの小さな娘を1人で列に並ばせていたそう。しかし、いつまで経っても戻ってこず、未だに注文さえできていないことに、憤っていました。

 しかし、亜依さんによると、その女の子はレジカウンターにも届くような身長ではありません。従業員はもちろん、その後ろに並んでいた人たちにも、どう見ても目を離すべきではない幼児が、ただうろうろしているようにしか見えませんでした。そのため、並んでいたお客さんの多くがその幼児を追い越してオーダーをしていたようなのです。

「実際のところ、本当にその女児が並んでいたかも定かではなかったのですが、他のお客さんに謝って、その男性の注文を先に受けました。でも、オーダーの最中もずっと悪態をついていましたね。ようやく商品を渡すと『二度とこんな店来ねぇ!』と捨てゼリフを吐いて去っていきました」

 大声で怒鳴られている間、心臓がバクバクして止まらなかったという亜依さん。

「空いていれば、小さなお子さんが注文に来た場合、レジカウンターの表に出てオーダーを取ったり、持ち切れない商品は座席まで運んだりするという対応をするお店でした。もしかしたら、そういった対応を望んでいたのかもしれませんね」