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熱中症になりやすい猫 梅雨時のケアは? 猫専門病院の獣医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

室内飼いで気を付けたい温度と湿度のバランス、夏は熱中症に注意

小笠原選手の愛猫、ヒメちゃん(左)とルナちゃん(右)【写真:小笠原瑛作】
小笠原選手の愛猫、ヒメちゃん(左)とルナちゃん(右)【写真:小笠原瑛作】

瑛作:室内飼いで頭を悩ませるのは、気温と湿度です。2年ほど前に2匹目を迎え入れた時、ちょうど冬で寒すぎたのか、すぐに体調を崩してしまいました。インターネットで調べてみたら「猫は寒さに弱い」と書いてありましたが、気温や湿度で気を付けるべきことはありますか。

長谷川:ペットとして飼われている猫は、元々リビアヤマネコが祖先と言われているので、暑さや寒さに強いと思われがちですが、基本的に暑さには弱いです。

瑛作:え、そうだったんですね。

長谷川:猫は人と違って、鼻と肉球の間くらいしか汗をかけないので、発汗して体温を下げることが難しい。となると、体内にたまった熱を外に出せないと熱中症になることもあります。

 加えて、猫は水をほとんど飲みません。祖先が砂漠で暮らしていた名残りで腎臓の尿濃縮機能が発達しており、それほど水を飲まなくても生活できてしまいます。でも、腎臓が高性能な分、故障することも早くて、腎臓の病気に罹りやすいですね。

瑛作:確かに水を飲む量は少ないですね。

長谷川:水をあまり飲まず、汗がかけなくて体外に熱を放出できないとなると、締め切った環境では簡単に熱中症になってしまうことが多い。だから、温度管理はとても大事です。夏も冬も基本的には、設定温度を26〜28度くらいにするのが適温だと言われています。冬はエアコンや暖房の近くにいませんか?

瑛作:暖房の近くや日向にいることが多いですね。

長谷川:そういう姿を見ると、寒さに強いかもしれないけど好きではなさそうですよね(笑)。なので、年間を通して一定の温度管理をしてあげた方がいいのかなと思います。

瑛作:はい、分かりました! 湿度はどうしたらいいでしょう?

長谷川:夏は湿度が高くて冬は低いのが日本の典型的な気候です。夏は湿度が高すぎると、唯一汗をかける鼻と肉球の間から汗をかく効率が落ちてしまいます。だいたい湿度50〜60%が目安と言われていますが、どのくらいなのか分かりづらいですよね(笑)。

瑛作:普段の湿度が何%なのか把握していたり、家に湿度計があったりする人は少なそうです(笑)。

長谷川:ですよね。だから、数字に囚われなくてもいいと思います。夏は多湿にならないように、冬は乾燥しすぎないように。人間もそうですが、冬に加湿した方がいいのは感染症対策という側面があります。風邪やインフルエンザに代表される感染症ウイルスは気温も湿度も低い方が活性化しやすく、これは猫風邪も一緒です。なので、湿度が高い方が人間も猫も風邪を引きにくくなると言われています。

飼い主さんが心掛けたい環境整備「猫は自分で調整してくれます」

瑛作:これから続く梅雨の季節は何か注意した方がいいことはありますか。

長谷川:梅雨は多湿になるので、長毛種で毛玉ができてしまう子は、毛玉の下が蒸れやすいので気を付けた方がいいかもしれません。人間でも不快指数があるように、猫にとっても多湿すぎる環境は心地よくないと思います。

司会:湿度50〜60%、気温26〜28度というと、人間が過ごしやすい状態を保っておけば安心かもしれません。

長谷川:そうですね。それで問題ないと思います。あとはエアコンや暖房器具が苦手な子もいるので、家の中に逃げ道を作っておくことも大事です。

瑛作:逃げ道、ですか?

長谷川:はい。エアコンや暖房が効いていない部屋などを作って、猫が自分好みの場所を選べるようにしておくといいでしょう。

瑛作:なるほど。うちの猫たちもそれぞれ気持ちのいい場所を探しています。暑い時は玄関のタイルの上でひんやりしていたり、寒い時は日が当たっている部屋に移動したり。人間でも気持ちいいだろうな、という場所を探している気がします。

長谷川:猫は居心地がいい場所を探すのが得意なので、環境を準備してあげれば、自分で調整をしてくれます。

瑛作:なるほど。猫はそういう自立した姿がまたいいですね。

(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)