Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

育休がない…子育てと仕事の両立は俳優の世界でも一苦労 安藤玉恵が語る実体験

公開日:  /  更新日:

著者:yoshimi

その役が自分にしかできないのと同様にお母さんは私しかいない

ご実家のとんかつ屋さんは地元の有名店。家には常に誰かがいるという家庭で育ったそう【写真:荒川祐史】
ご実家のとんかつ屋さんは地元の有名店。家には常に誰かがいるという家庭で育ったそう【写真:荒川祐史】

――仕事と子育て、家庭とのバランスを考える中で、安藤さんが一番意識していることは何でしょうか。

 夜は飲んで帰らないことですね(笑)。打ち上げなどには顔を出していましたが、基本的には子どもと一緒にいる時間を優先しています。役者として、自分がその時に演じている役が自分にしかできないのと同様に、子どもにとってお母さんは私しかいないですから。仕事以外の時間は、なるべく家にいようと思っていました。

――安藤さんのマイルールですね。

 それでも、1人でお留守番しなくちゃいけない時には、手紙を書いて置いておくようにしていました。私、大家族で育ったんですよ。仲居さんや板前さんまで十何人、家には常に誰かがいるという家庭で育ったからひとりきりで家にいたことがなくて。一人暮らしもしたことないんです。とんかつ屋で箱入り娘ですから(笑)。

 それもあって、家に子どもが1人でいるという状況が想像できなくて、とてつもなく寂しいんじゃないかなと。学校から帰ってきて私が戻るまで「3時間もひとりぼっち!」って思っちゃう(笑)。

――帰宅して手紙があるだけでも、お子さんとしては安心感があると思います。

 どうでしょうね(笑)。それについて聞いたことがないですし、自己満足みたいなものですから。しかも今は子どもも中学生になって、絶賛反抗期ですし(笑)。

お母さんがベストコンディションでいられる状況を作ることが大事

――改めて、仕事と育児、家庭のバランスに悩む方にアドバイスをいただけますか。

 私もそうなんですけど、子どもと離れていると悪い気持ちになるというか、罪悪感を持ってしまいがちなところがあると思うんです。

 でも、お母さんがベストコンディションな時が子どもにとって一番いい環境なのかなと。だから、仕事だけじゃなく自分のことも充実させる。悩んだりすることも含めて、自分自身でいられる時間が多い方がいいのかなと思います。

――常に自分がベストコンディションでいられる状況を作るための秘訣はありますか。

 パートナーを巻き込む(笑)。育児って、どうしても「自分の方がやっている」と思いがち。だったら、それを相手に伝えてしまう。私がベストでいられる状況がみんなにとっていいことだと分かってもらう方がいいのかなと。

 仕事を続けると決めたなら、そこには譲れないものもあると思うので、それを貫いていくのも大事だし、それができるような環境を作っていくことが大切だと思います。

 ◇ ◇ ◇

 次回の後編では、コロナ禍における演劇界の状況や家族との時間、最新の出演舞台『虹む街』などについてお伺いします。

◇安藤玉恵(あんどう・たまえ)
1976年8月8日、東京都出身。早稲田大学在学中に演劇を始め、数々の舞台に出演。主な出演に映画『夢売るふたり』(2012年・西川美和監督)、『恋人たち』(2015・橋口亮輔監督)、『探偵はBARにいる』シリーズ、ドラマ「深夜食堂」シリーズ、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」など。実家の老舗とんかつ店「どん平」にて『安藤玉恵による“とんかつ”と“語り”の夕べ』を不定期開催中。現在NHK土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」に出演中。

◇KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『虹む街』
作・演出:タニノクロウ
出演:安藤玉恵・金子清文・緒方晋・島田桃依・タニノクロウ・蘭妖子 ほか
日程:2021年6月6日(日)~20日(日)
会場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
公式サイト:https://www.kaat.jp/d/nijimumachi

(yoshimi)