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【私の家族】俳優・川上麻衣子 愛猫たちから学んだ55歳の死生観 年間300匹の猫と里親を結び付ける保護猫活動も

公開日:  /  更新日:

著者:中野 裕子

愛猫の看取りを5度経験 2匹目の病気が猫との向き合い方の転機に

2匹目のローサちゃんのがんがきっかけで病気について学ぶように【写真:山口比佐夫】
2匹目のローサちゃんのがんがきっかけで病気について学ぶように【写真:山口比佐夫】

 一般社団法人を設立する2年前に、「にゃなか」という猫好きの人の交流サイトを立ち上げイベントをして楽しんでいました。ですが、企業とコラボする機会もあったので、信用を得る必要があると考えて一般社団法人にしたんです。こんな風に活動するようになるなんて、猫と暮らし始めた当初はまったく思っていませんでした(笑)。

 元々生き物は好きで、犬猫禁止の物件だった実家ではハムスターやセキセイインコを飼っていました。18歳で一人暮らしを始めてから、ヒマラヤンの男の子「ミリオン」を迎えました。出逢いは伊勢丹新宿店の屋上にあるペットショップ。そこで生後2か月半だったミリオンと目が合って(笑)。それでも、猫を飼うのは初めてだったのですごく悩み、一緒に暮らし始めてからも最初はお互いドキドキして、一定の距離感を持って生活していました。

 意思の疎通ができるようになったのは2、3年目から。溺愛していたので、老猫になった7歳を超えてからは先立たれる“いつか”を思いつらさもありました。

 ミリオンは16歳で亡くなりました。てんかんの発作を起こして急に目が見えなくなったため、獣医師さんに「脳腫瘍かも」と言われたのですが、年齢的に手術は厳しくて……。最期の3日間を泣き続けて疲れ果てた私の腕の中で、スッと息を引き取りました。まるで私の心の準備ができるのを待っていてくれたみたいに。

 息を引き取る直前には、ちゃんと目を見て「ありがとう」と伝えてくれました。その“逝き方”が立派で。子猫の頃から育って、老いて、亡くなるまで一緒に過ごして一生を見せてくれて、私も「ありがとう」という感謝の気持ちになりました。その感謝の思いが今の活動につながっています。

 これまで7匹の猫と暮らし、5匹を看取ってきました。それぞれ性格も好きな食べ物もまったく違い、逝き方も違っていました。2匹目のヒマラヤンで女の子の「ローサ」は、舌の奥に進行性の扁平上皮がんができて、最期は食べたいのに食べられなくなりました。私も不安だし、猫は話せないから痛いのかしんどいのか分からないしで、お互いに大変でした。その経験から、猫の身体や病気について学ぶようになりました。

 保護猫に関心をもつきっかけは、3匹目で男の子の「リッカ」。実は、2匹目のローサは生前、お見合いして妊娠したのですが、出産直前に死産という悲しい結果に終わったことがありました。その時、「子猫を迎えるつもりだったなら、里親を探している子猫がいるがどうか」とリッカを紹介され、迎えたんです。リッカは19歳まで生きて、最期は食べられず痩せ細って亡くなったんですけど、延命治療や看取りについて考えるようになりました。