何かと細かい夫　大好物で復讐したら思わぬ返り討ち？

　関東地方在住の晴夏さん（仮名・42歳）が結婚したのは5年ほど前のこと。大学生の頃から20年近く一人暮らしをし、独身生活を謳歌してきた晴夏さんにとって、繊細で細かいところにまで気が付いてしまう夫との生活は、思っていた以上にストレスが溜まるものでした。

「夫は料理人なので、冷蔵庫の中身を見ては『本当にだらしないんだから……』とブツブツ。食器を洗うと『汚れが落ちている気がしない』と洗い直しをされることも。一緒に買い物へ行けばかごに入れたお菓子を見て、『身体に悪いよ。返してきて』と、まるで小さな子どものように私を諭してくるんです」

　まめまめしく洗濯や掃除をしてくれたり、作り置きを作って冷蔵庫にストックをしてくれたりと、うるさい以外は本当に良い夫。そうは思いつつも、小言を言われる度にストレスを溜めているという晴夏さん。

「最初のうちは不満をぶつけていたのですが、飲食店で働く夫はカスタマーハラスメントに慣れていて、どうやら効果がないようでした」

　そんなある日、会社帰りに夫から連絡が。それは晴夏さんのやり残した家事を注意するもので、出かけている時までメッセージアプリで叱ってくることにうんざりしてしまったそう。

　そこで怒りを抑えるため、夫婦揃って大好きな地元のタルト店で、お気に入りのタルトを自分の分だけ買って帰ることに。家に着くと夫が見ていない間にこっそりと平らげ、空き箱だけを夫の目に付くゴミ箱へ入れました。

　すると、空き箱に気が付いた夫は「俺の分は？」と聞いてきたそう。そこで「ごめんなさ～い。また買ってくるから許してね～」と棒読みしたのだとか。

「夫は何も言ってきませんでしたが、食道楽なので地味にショックを受けている様子でした。その顔を見て少し溜飲を下げたのですが、次の日、夫は意外な行動をとったんです」

　健康を気遣い、普段は甘いものを自分で買ってくることはほとんどないという夫が、何と晴夏さんの好きな洋菓子店のケーキを手土産に帰って来たそう。しかも、きちんと2人分購入し、一緒に食べようと勧めてきたのです。

「普段は反論しても言い返してくる夫なので、絶対にやり返されると思っていました。でも、意外でも何でもなく、交際中からおいしいものがあると私にシェアしたがるタイプだったのを思い出しました。ここのところ家での食事ばかりだったのですっかり忘れていました」

　衝動的に行ったプチ復讐がきっかけで、晴夏さんは夫の愛に変わりがないことを思い出したそう。そして夫の分のタルトを買ってこなかった前日の件を謝罪しました。

　ストレスを感じると、体内の免疫力が下がってしまうとも言われています。小さな復讐でこっそりストレス発散するのもいいですが、きちんと話し合うことも大切かもしれません。

（和栗 恵）