仕事・人生
ピエール・エルメともコラボ 独学でピクルス作りを始めた女性が成功した理由
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きっかけの1つになった「青山ファーマーズマーケット」
東京に住んでいた頃には、渋谷で開催されていた「青山ファーマーズマーケット」やマルシェへ足を運んでいたという齊藤さん。農家の方が手作りした温もりのある加工品に魅力を感じていました。
特に「青山ファーマーズマーケット」では、見たこともないような野菜や加工品、デザインやパッケージ、若い農家さんなどに触れ、農業に新しいシーンが訪れていることが新鮮だったといいます。私もそこで東京の友人のために作ったピクルスを販売してみたい――。東京での思い出に触発され、こう思ったこともきっかけの1つになりました。
もちろん、それだけでうまくいくほどピクルス作りは簡単ではありませんでした。
「『やってみたい』というところからスタートしたのですが、そもそも食に関しては素人です。食品加工とか衛生管理ってどうやるの? そもそもどうやって日持ちさせるの? と疑問だらけでしたね(苦笑)。地元の保健所やいろいろな方に教えていただき、何度も問い合わせしたり、インターネットで調べたりしながら、ゼロから学んでいきました。
商品化の採用基準は齊藤さんの味覚。「食いしん坊」を自称する齊藤さん自身が実食し、おいしいと感じるかどうかや、素材の組み合わせが合うかどうかで決めるといいます。
「当初はマルシェで販売することがメインでしたので、マーケティングリサーチを兼ねて、実際に食べていただいたお客さんと会話しながら試行錯誤していました」
お客さんの感想を参考にしたり、賞味期限の中で食材同士が見せる反応や変化も考慮したりしながら、たくさんの試作品から選び抜かれ、ブラッシュアップされたものが商品になったそうです。
オンラインショップには、旬な野菜を使った色とりどりの瓶詰めピクルスが販売されています。種類の豊富さもまた、「GOOD MORNING FARM」のピクルスの特徴です。
齊藤さんは日々、愛媛の自然にインスピレーションを得ながら、モノづくりを楽しんでいます。
「見た目のデザインや食感も大切にしていますが、日々の食事、パーティーシーン、お祝いやギフト、お酒とのペアリングなど、“旬野菜×シーン”をイメージしながらたくさんの種類を作っています。またお客様には、瓶を選びながらいろいろなことを感じ取っていただければうれしいです。例えば、季節感やギフトを贈る相手のこと、その日の気分や見た目の美しさなど、少しイメージが広がると、瓶の楽しみが増えていくような気がしています」
これからも「GOOD MORNING FARM」には、新しいカラフルな瓶詰めピクルスがたくさん並ぶことでしょう。
愛媛県出身。地元の高校を卒業後に上京。デザインを学び、グラフィックデザイナーとしてテレビ番組のオープニングタイトルCGやゲーム、映像、パンフレットなどの制作に携わる。2011年3月に起きた東日本大震災を機に、地元へのUターンを決意。愛媛県産のおいしい野菜を届けたいと瓶詰めピクルス作りを独学で始める。当初はマルシェやイベントなどで瓶詰めピクルスを販売していたが、2018年に店舗と加工場を立ち上げ、瓶詰めピクルスやジャムの製造・販売業を開始。同年にはピエール・エルメとのコラボでも話題になった。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)