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アンドリュー王子 民事訴訟の行方は? 「プライベートな法的問題」に王室はジレンマか

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

アンドリュー王子【写真:AP】
アンドリュー王子【写真:AP】

 米国時間9日、米ニューヨーク州で起こされたアンドリュー王子の民事訴訟。勾留中だった2019年に死亡した米国人実業家ジェフリー・エプスタイン被告の性的犯罪に関するもので、原告は当時未成年で王子との性交渉を強要されたと主張する女性だ。王室メンバーが他国で訴えられるという前代未聞の事態に見舞われる中、エリザベス女王の休暇先であるバルモラル城にはアンドリュー王子に続いてチャールズ皇太子夫妻も到着し、何らかの協議が行われているとの見方もある。今後の展開についての見通しなども多数報じられている一方で、先行きは不透明な状況のようだ。

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2014年から本格的な大騒動に発展

 アンドリュー王子を相手取り民事訴訟を起こした人物は、「エプスタイン事件」の被害者として早くから声を上げていたバージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さん。これまでもエプスタイン被告らを相手取る民事訴訟を起こし、真実の解明を訴え続けている。

 王子は2011年頃からエプスタイン被告の友人として写真が出回っており、2014年12月末にジュフリーさんが米フロリダ州に提出した裁判文書で「実際に性交渉をした人物」として名前が挙がった。これを受けて英王室は翌2015年1月、否定声明を2度発表している。

 疑惑はくすぶり続け、次に大きく注目されたのは2019年だった。エプスタイン被告の2度目の逮捕と起訴、そして勾留中の死亡から数か月後の11月、王子は英公共放送BBCのインタビューで性交渉に関する疑惑を否定。ジュフリーさんが公開した当時のツーショット写真も「撮影された記憶がない」などと語った。だがBBCは同年12月、ジュフリーさんが涙ながらに事実を訴えるインタビューも放送している。

 さらにジュフリーさんは2020年夏に回想録を出版。英大衆紙「デイリー・メール」はこれを基に独自取材を展開し、BBCインタビューで王子が語った“アリバイ”が成立しないことと回想録の内容に関する疑問点を併せて伝えていた。また、米司法当局はこれまで英政府に対して王子の聴取を要請してきたが、現在まで応じられていない。

「我々を無視することはできる。しかし、訴訟までは無視できない」

アンドリュー王子とジュフリーさんが性交渉を持ったとされる住宅。エプスタイン被告のパートナー、ギレイン・マックスウェル被告の持ち物だった【写真:Getty Images】
アンドリュー王子とジュフリーさんが性交渉を持ったとされる住宅。エプスタイン被告のパートナー、ギレイン・マックスウェル被告の持ち物だった【写真:Getty Images】

 今回の民事訴訟は、ニューヨーク州マンハッタンの連邦地裁に起こされたもの。未成年だった17歳の時に王子から性的虐待を受けたとして損害賠償を求める内容で、訴状では同州の未成年被害者法が適用されるとしている。

「メール」紙が米弁護士の話として報じた内容によると、訴訟により王子の性遍歴やエプスタイン被告との関係について答えることを余儀なくされる可能性があるという。王子側がジュフリーさんの主張に反応(回答)する期間は裁判文書が送達されてから21日間以内とされており、米弁護士は「もし反応しなかった場合、彼女は裁判所に対して裁判なしで自身に有利な判決を下すよう求めることができます」とも語っている。

 英大衆紙「デイリー・ミラー」は、ジュフリーさんの弁護士側が裁判文書を王子に直接手渡そうとしていることを伝えている。これは、王子が米国から見た外国人であることからハーグ送達条約に基づいた手順を踏む必要があるため。9月13日に予定されている最初のヒアリングでは、王子が裁判文書を持っているかどうかを裁判官に伝える必要があるという。

 ジュフリーさんの弁護士を務めるデビッド・ボイーズ氏は英民放チャンネル4に対して「我々は彼(アンドリュー王子)の言い分を聞くために何度も連絡を取ろうと可能な限り努力した」と語っている。「しかし、彼は我々を無視するだけだった。我々を無視することはできる。しかし、訴訟までは無視できない」と、訴訟に踏み切った理由と王室側の“無反応”ぶりを明らかにした。