インタビュー

「この命を使うなら誰かのため」 手足3本を失った男性が美馬アンナさんに語る人生の意義

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

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先天性上肢形成不全の息子を育てる美馬アンナさん(左)と事故で手足3本を失った山田千紘さんが対談【写真:荒川祐史】
先天性上肢形成不全の息子を育てる美馬アンナさん(左)と事故で手足3本を失った山田千紘さんが対談【写真:荒川祐史】

対談シリーズ第6回 手足3本を失った山田千紘さんが感じる使命

 女優・タレントの美馬アンナさんは、先天性上肢形成不全のため右手首から先がなく生まれた1歳10か月の男の子「ミニっち」の母として、毎日子育てに奮闘しています。プロ野球の千葉ロッテマリーンズで活躍する夫の美馬学投手とともに、笑顔と愛情たっぷりの家庭を築くと同時に、障害への理解と学びを深める日々です。

 我が子との出会いをきっかけに、健常者と障害者をつなぐきっかけとして野球やスポーツを生かせる形を模索。障害を持つ子どもの家族が意見交換や情報共有できる場所を作りたいと願い、さまざまなジャンルの方との対談を通じてヒントを得ています。

 今回の対談相手は20歳の時に遭った電車事故で利き手と両脚を失った山田千紘さん。自身の日常生活をSNSで発信していた山田さんは、昨年7月24日にYouTubeチャンネル「山田千紘 ちーチャンネル」を開設しました。日常生活を動画で公開するこのチャンネルは、現在の登録者数が10万人を超えています。3回にわたってお届けしている対談の様子、最後となる後編では、活動を通じて伝えたいメッセージや成長のヒントなどについて話していただきました。

 ◇ ◇ ◇

多くの方々に何かを感じてもらえたら、自分の存在意義がある

司会:山田さんがSNSやYouTubeで積極的にご自身の姿を発信なさる背景には「いろいろな方の勇気や刺激になりたい」という思いがあるそうですね。

山田千紘さん(以下山田):障害を持っている人たちの勇気や希望になりたいという思いがあります。それと同時に、心のどこかでは「健常者と呼ばれる人たちに対する無言のメッセージ」という意識もありますね。

 僕が実家を出て一人暮らしをしたり、自炊をしたりする姿を見て、友人たちはかなり刺激を受けているようです。手足が3本ない僕でもできているのに、健常者ができないわけがない。僕が言い訳できない要素になっているみたいで(笑)。仲間内だけではなく、僕のことを知ってくれた多くの方々に何かを感じてもらえたら、自分の存在意義があるなと。

美馬アンナさん(以下アンナ):私も刺激を受けています! お弁当すごくきれいですよね。卵焼きとか誰かが作ってくれているんじゃないかってくらい(笑)。

山田:いやいや、全部自分で作ってますよ! 後ろに料理人が隠れているわけではありません(笑)。結構疑われるんですけど、ありがたいことにYouTubeは全部お見せできるので、本当に日常をありのまま飾ることなく発信しています。

アンナ:日常を発信するだけで人に刺激を与えられるのはすごいことですよね。

山田:そうなんです。卵焼きを作っただけで「この人、神だ!」と言ってもらえます(笑)。

アンナ:でも、山田さんのYouTubeは本当に元気が出るんです。「私も頑張ろう!」って思えます。

山田:YouTubeを始めて最初に再生回数が伸びた動画は、朝の自宅で車いすに乗っている自分がスーツに着替えるというだけの内容でした。僕にとっては週7日のうち5日やっていることなのに、すごく反響をいただいて。それだけでも意義のあることなんだなと感じましたし、誰かの勇気や希望になれたのならうれしく思います。