仕事・人生
人が人を呼ぶ アート作品のような瓶詰めピクルスが開いた世界の扉
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コロナ禍のイベント中止 視点を変えオンライン販売に力 さらなる認知へ
新型コロナウイルスの影響で、東京を中心に感染者が多い地域では、昨年からマルシェやイベントの中止が続いています。多い時で年に約50本のイベントやマルシェに出店し、瓶詰めピクルスを納品していた「GOOD MORNING FARM」も、昨年は10月に1度だけ。立ち止まるのではなく、できた時間に「オンラインショップを充実させよう」とプラスにとらえて動きました。
「これまでは卸しの注文が多く、なかなか在庫分まで余裕を持って作ることができませんでした。そのためオンラインショップなどで、一般のお客様がご購入いただける機会が少なったのですが、コロナ禍で卸しの注文が減ったことで、逆にオンラインショップに商品を回すことができるようになったんです」
瓶詰めピクルスを作り始めて6年。店舗と加工場を立ち上げてからは、約2年が経ちました。好きなことをやり続けることができ、「ありがたさしかない」と齊藤さんは言います。
「コロナ禍でどうしようかなっていう時も正直ありました。商品を卸している多くのお店が休業してしまったので、注文もストップしてしまった。でも、いろいろな方に支えられながら、困った時には誰かが誰かを連れてきてくれる。そこでまた次につながる新しい出会いがありました。だから本当に“人のおかげ”です」と感謝しています。
新しい環境の中で見えてきたこれまでとは違った視点が、齊藤さんを動かし続ける力になっています。
「自分の好きなことを仕事にしようとした時、それが世の中で通用するのか、仕事になるのか、分からなくて不安もありました。でも、自宅のキッチンからピクルス作りを始めた時のように、小さいことからでもいいので『まずはやってみる』という気持ちを大切にしています」
まだまだ作りたいピクルスがたくさんあると笑顔を見せる齊藤さん。これからも好きなことを仕事として続けていきます。
愛媛県出身。地元の高校を卒業後に上京。デザインを学び、グラフィックデザイナーとしてテレビ番組のオープニングタイトルCGやゲーム、映像、パンフレットなどの制作に携わる。2011年3月に起きた東日本大震災を機に、地元へのUターンを決意。愛媛県産のおいしい野菜を届けたいと瓶詰めピクルス作りを独学で始める。当初はマルシェやイベントなどで瓶詰めピクルスを販売していたが、2018年に店舗と加工場を立ち上げ、瓶詰めピクルスやジャムの製造・販売業を開始。同年にはピエール・エルメとのコラボでも話題になった。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)