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再開で注目 バッキンガム宮殿の衛兵交代式 知ってそうで知らない基礎知識

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

現地時間23日に再開した衛兵交代式【写真:Getty Images】
現地時間23日に再開した衛兵交代式【写真:Getty Images】

 英ロンドン観光の目玉といえば、バッキンガム宮殿で定時に行われる衛兵交代式。新型コロナウイルス流行の影響を受けて昨年3月から中止されていたが、現地時間23日に再開し、大きな話題になっている。またこの日に近衛軍楽隊がメドレーで演奏した曲目には、英国の五輪選手たちを称えるものも含まれていた。ロイヤルファンはもちろん世界の観光客を魅了する衛兵交代式とは、一体どのような内容なのだろうか?

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スパンダー・バレエ「ゴールド」や五輪のテーマ曲を演奏

 バッキンガム宮殿の衛兵交代式は、その名の通りバッキンガム宮殿とセント・ジェームズ宮殿を警備する衛兵たちが交代をする際の定例セレモニー。英王室の伝統儀式を料金不要で見学できるとあって、2020年3月にコロナ禍で中止されるまでは世界中の観光客が押し寄せる人気ぶりだった。

 ウィンザー城での衛兵交代式は7月から再開していたが、バッキンガム宮殿は現地時間8月23日に。もちろん事前に発表されており、18か月ぶりに再開する記念すべき瞬間をレポートしようと報道陣の姿も多く見受けられた。

 今回交代のために登場した衛兵は、花形とされる「コールド・ストリーム・ガーズ(1st Battalion Coldstream Guards)」の第1大隊と近衛軍楽隊「コールド・ストリーム・ガーズ・バンド」。バンドは今回、英ベテランバンド、スパンダー・バレエの大ヒット曲「ゴールド」や五輪のテーマ曲、ホイットニー・ヒューストンの「ワン・モーメント・イン・タイム」など英国のオリンピアンたちに敬意を表する曲がセレクトされ、英国内でも東京五輪の余韻が冷めやらぬ様子を感じさせた。

英陸軍に現存する最古の連隊「コールド・ストリーム・ガーズ」

日本でも人気が高いコールド・ストリーム・ガーズ・バンド【写真:AP】
日本でも人気が高いコールド・ストリーム・ガーズ・バンド【写真:AP】

 今回の再開セレモニーを率いたコールド・ストリーム・ガーズのアンドリュー・ストークス氏は英ニュース専門局スカイニュースに対し、「最後に衛兵交代式を行ってから18か月が経過したことを念頭に置き、衛兵たちを標準に戻すためにとても多くの努力と準備があった」とその意気込みを語っていた。

 こうした意識の高さには、エリザベス女王を守るという最重要任務に加え、コールド・ストリーム・ガーズとしての確固たるプライドが存在しているのだろう。赤い制服と黒の帽子と聞いて真っ先に思いつく彼らは、英陸軍が有する多数の歩兵連隊でも抜群の知名度を誇っている。

 衛兵交代式以外にもさまざまな儀礼で活躍していることからそうした役目が専門と思われがちだが、実は英陸軍に現存する最古の連隊でありエリート集団。その起源は1650年にまでさかのぼり、2度の世界大戦と近年ではフォークランドや中東などにも派遣された。また、その軍楽隊であるコールド・ストリーム・ガーズ・バンドも英陸軍の軍楽隊で最高レベルと言われ、来日公演の経験も豊富だ。

 そして、衛兵交代式に登場する衛兵と軍楽隊は彼らだけではない。コールド・ストリーム・ガーズの第7中隊や「グレナディア・ガーズ」、「スコッツ・ガーズ」、軍楽隊では「ウェルシュ・ガーズ・バンド」も同じ役目を担っており、ウィンザー城とあわせて日替わりでセレモニーを行なっている。

 ちなみに、2017年には英国海軍が登場したこともある。この年は「海軍の年(Year of the Navy)」とされており、その祝賀行事の一環だった。当時で357年目を迎えていた衛兵交代式において、海軍が引き継いだのは歴史上初めてだったそうだ。