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からだ・美容

月経前症候群(PMS)のつらい痛み…食事で穏やかにする方法と避けたい飲料は

公開日:  /  更新日:

著者:フェムテックtv・小嶋 美樹

教えてくれた人:高須 希代

月経前の数日間だけ続く不調。食事で緩和できる?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
月経前の数日間だけ続く不調。食事で緩和できる?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「もうすぐ生理が始まるな」という頃になると、下腹部がじんわり痛くなったり、体がだるくなったり、朝起きるのがつらかったり。あるいは、友達や同僚の何気ない一言にいつもよりイライラしたり、悲しくなったり。月経前の数日間だけ続く精神的、身体的な症状をPMS(月経前症候群)と呼びます。多くの女性を苦しめるPMSを穏やかにするには、日々の食生活の見直しも大切だそう。そこで今回は、症状の1つであるさまざまな部位の痛みを穏やかにする食事に関して、管理栄養士で公認スポーツ栄養士の高須希代さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ホルモン「プロスタグランジン」の過剰分泌が痛みを引き起こす原因に

 PMSは生殖に適した年齢(18~45歳)の女性特有の症状で、月経の開始とともに自然に治まるのが特徴。原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンの変動が影響しているのではないかと考えられています。

「人知れずPMSのつらい症状に悩む女性も少なくないと思うのですが、そもそもなぜ月経前の数日間に腹痛や腰痛、頭痛など、体にさまざまな痛みが出るのか、そのメカニズムをご存じでしょうか? 実は女性の体では、この時期になると『プロスタグランジン』というホルモンの分泌が急激に増加し、それがさまざまな痛みを引き起こす一因になっていると考えられているのです」

――どのようなホルモンなのですか?

「子宮内膜をはがす作用のある『プロスタグランジン』というホルモンは、月経前の時期になると、女性の体内で盛んに分泌されることが分かっています。『プロスタグランジン』は主に筋肉を収縮させるホルモンで、この時期になると子宮を収縮させ、経血の排出を促す働きをするのです。

 PMSのさまざまな症状は、こういった大切なホルモンがきちんと体の中で作用をしている証しでもあります。ただ、それらがあまりに過剰になってしまうと、さまざまな苦痛を生み出してしまうのです」

――そもそもなぜホルモンの過剰分泌が起こるのでしょうか。

「原因の1つとして考えられるのは、体の冷えですね。筋肉はそもそも冷えると弾力性を失い、収縮性が弱くなります。例えば、肉の塊は冷蔵庫から出してすぐだと冷たく固いですよね? でも、しばらく常温で戻すとやわらかく伸びが良くなります。

 人間の筋肉も同じこと。冷えてしなやかさを失った筋肉は弾力性が弱くなるため、子宮の収縮を促すための『プロスタグランジン』が必要以上に多く輩出され、筋肉の収縮も通常よりも強く起こってしまうのです。それが月経前の腹痛や腰痛の一因です。

 また、『プロスタグランジン』は末梢組織の痛みを強める作用もあると言われているため、頭痛の原因になってしまうことも。さらには、胃や腸の筋肉の収縮が激しくなることで、月経前の時期に胃もたれや吐き気などの症状を感じる人もいます」