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美馬アンナさんが見た東京パラリンピック 「これで終わりではなくここから先が大切」
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パラアスリートの姿から自分の目指す方向がより明確に
思い出に残るシーンはたくさんありましたが、最も強く印象に残ったのは、自転車の女子個人ロードレースと女子個人ロードタイムトライアル(ともに運動機能障害C1~3)で金メダルを獲得した杉浦佳子選手です。
「最年少記録は二度と作れないけど、最年長記録はまた作れますね」という、あの言葉。笑顔がとても素敵で、この先もまだまだ金メダルを狙おうという前向きさがすごく響きました。「私も50歳になった時、こういう考えで生きていたいな」と素直に思いましたし、自分の可能性をとことん信じている姿が希望に満ちあふれている。パラアスリートとしてではなく、1人の女性、1人の人間として見習いたい、そう思える方でした。
もう1つ印象的だったのは、競泳男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)で金メダル、男子100メートル平泳ぎ(視覚障害SB11)で銀メダルを獲得した木村敬一選手の言葉です。
出演されたニュース番組でメダルを獲った感想を聞かれた時、「全盲の僕にはメダルの色は見えないし、金や銀がどんな色かも分からない。だからメダルを獲ったということよりも、表彰台の上で日本国歌が流れるのを聞いた時に一番感動したし、自分が優勝したと実感したので涙が出ました」といった内容のお話をしていました。私を含め多くの人がメダルやその色を気にする中、耳で優勝を感じたという木村選手に新たな視点を与えていただいた気がします。
これで終わりではなく、ここから先が大切
今回の東京パラリンピックは子どもだけではなく、大人にも多くの気付きや価値観を与えてくれました。多くの人にとって、障害に対する意識や考えが変わるきっかけになったのではないでしょうか。それだけパラアスリートの皆さんの姿は力強いメッセージを発していたと思います。
今回改めて感じたのは、障害があるというだけでその人が持つ可能性を閉ざしてはいけないということ。特に大人たちは、障害の有無にかかわらず、子どもたちが持つ可能性をさらに広げられる場を作るべきですね。これまでも障害やダイバーシティなどについて多くの学びを得てきましたが、パラリンピックを通じて私の目指すべき方向がより明確になったように思います。
閉会式が終わった今も、パラアスリートの皆さんがSNSなどで出場した感動や誇りを発信し続けています。結果はどうであれ、パラリンピックの舞台に立ったことが本当に楽しく、うれしい出来事だったのでしょう。そんな様子も含め、私はパラリンピックに対してポジティブな思いしか沸いてきません。
これまで以上に注目された東京パラリンピックが、この先の未来へ何をレガシーとして残すのか。そして、多くの気付きや感動を与えてもらった私たちが、この先の未来へどんなアクションを起こしていくのか。
これで終わりではなく、ここから先が大切な意味を持つことになりそうです。次回は3年後のパリ大会。私も何かアクションを起こしていきたいと思います。
(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)
■開催概要
○日時:2021年9月30日(木)午前11:00~午後1:00(予定)
○形式:オンライン会議システム「Zoom」ウェビナー
○定員:20名(応募多数の場合は抽選とさせていただきます)
○対象:障害のあるお子様のご家族、障害のあるご本人
○費用:無料
○締め切り:9月10日(金)午前11:59まで