仕事・人生
始まりはママ友への一言 普通の会社員が地元名物のビール造りを始めたわけ
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言われたとおりに会社を設立、流れで会社を退職
まったくの無知な状態からクラフトビール造りを始めることになった市原さん。当時は会社員だったため、仕事が休みの週末を利用して、醸造所へと通う日々が始まりました。
「サークル活動というか、ボランティアというか、そんな感じでした」
翌年には、街づくりイベントの関係者から「法人化してきて」と言われ、会社を設立。「よくよく考えると変ですけど……」と振り返ります。けれども、その頃はまだサークル活動の気分だったため、不思議なことに「目の前にあることを楽しもう」とすんなり受け入れていたそう。
しかし、市原さんは会社を立ち上げたとはいえ、平日は会社員として勤務。働きながらできる範囲で始めたビール造りは、仕事が終わった帰宅後を中心に行っていました。しかも当時は、他の醸造所を間借りしてクラフトビール造りをしていたといいます。
そして次第に「近所で場所を借りて、自分たちの醸造所でビール造りをしたい」との思いが募っていき、市原さんがビール造りにかける時間は増えていきました。
「物件を借りるための打ち合わせなど、平日昼間の作業が増えて、さすがにもう隙間時間だけではさばき切れなくなってしまったんです。それで、そのタイミングで会社を辞めました。キャリアチェンジのためにとか、思い切って辞めたとか、そういう感じではなくて。本当に行きがかり上というか、逆に言えば無計画でしたね(笑)」
こうして市原さんは2018年に「ふたこビール醸造所」をオープン。ユニークなフレーバービールなどもラインアップに加わり、いまや二子玉川の名所として、地元の人たちの憩いの場になっています。ひょんなことから始まったクラフトビール造り。けれども、誰もが気軽に立ち寄れる憩いの場作りは、市原さんが思い描く夢でもあったのでした。
香川県出身。大学進学を機に上京。二子玉川(東京都世田谷区)でクラフトビールの製造・販売・卸業を行う「株式会社ふたこ麦麦公社」の代表取締役社長。2015年に「ふたこ麦麦公社」を設立し、2018年11月末には二子玉川駅(東急田園都市線)の近くに念願の「ふたこビール醸造所」をオープン。現在は地元民にとって憩いの場所になっている。自身も二子玉川に約20年間在住。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)