オーガズムを得るには自身の体を知ることから

　つまりオーガズムを得るには、体と脳の両方に刺激と快感が伝わる必要があります。それは、「自分の体のどこを触ると気持ち良いと感じるか」「どういう雰囲気の中で行うとリラックスできるのか」など、心身ともに心地よい状態を探っていくことが大切です。

　その一つにセルフプレジャーがあります。抵抗があったり、後ろめたい気持ちになってしまったりする人もいると思いますが、自分の体や脳を心地よい状態へ導く行為と思えば、少し気楽に感じられますよね。

　オーガズムを得ると、いわゆる幸せホルモンの「オキシトシン」が分泌されるので、心身ともにリラックスすることができます。そうすると良い睡眠にもつながり、日中も健やかに過ごせるため、幸せの連鎖が起きます。

　さらに、自分の気持ち良い場所や心地よい状態を知っておくと、パートナーにも共有できるため、良い関係性が築けるきっかけにもなります。パートナーとお互いに、どこが気持ち良いのかを話せたり探ったりできる関係性が築けると素敵ですよね。

オーガズムにこだわりすぎない　自分自身の感覚を大切に

　オーガズムの仕組みを知っておくと、その状態を作りやすいという利点もあります。逆に仕組みを知らない場合、たとえオーガズムを迎えたとしても「これがオーガズムなんだ」と認識することができず、理解不能なその状態に焦ってしまうかもしれません。

　ただし、オーガズムを得ることにこだわらないでください。性的行為をする度にオーガズムが得られるわけではありませんし、得られることが正解でもありません。「気持ち良いな～」「心地よいな～」という状態で満たされる人もいれば、パートナーとスキンシップをとるだけで幸せだと感じる人もいます。

　また、アダルト関連の映像など、世の中にはさまざまな情報があります。しかし、ある種の演出が入っていることもありますし、そのすべてが正しい知識というわけではありません。

　オーガズムにまつわる間違った情報に惑わされることなく、自分自身の感覚やパートナーとのコミュニケーションを意識しながら、2人が心地よいと感じる状態を大切にしてください。

（フェムテックtv・木川 誠子）

栗本 夏帆（くりもと・なつほ）

グラン治療院の統括院長。国家資格を保有する鍼灸師として活動しながら、「一般社団法人 日本温活協会」の温活士としても活躍。女性限定の腟サロンを立ち上げるなど、勉強会や啓蒙活動にも励んでいる。