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9月29日は「招き猫の日」 謎が多い縁起物 種類によるご利益の違いなど豆知識を解説

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

上げた前足はどっち? 高さにも意味がある

上げている前足が右か左かで意味が違う(写真はイメージ)【写真:写真AC】
上げている前足が右か左かで意味が違う(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 前足を上げた愛くるしいポーズが人気の招き猫。右か左、どちらを上げているかでそれぞれ意味が違うと言われています。また上げた位置が高いか低いかによっても違いがあるそうです。一般的に伝わるご利益は次の通り。

○右を上げている
お金や幸運を招くと言われています。金運アップ。飾る場所は一般家庭が向いているそうです。

○左を上げている
人や縁を招くと言われています。千客万来、商売繁盛。店や会社などに飾ると良いでしょう。

 お金も人の縁も招きたい場合は、右と左2体の招き猫をペアで飾る人も多いようです。1体で両方の福を招くということから、左右両方の前足を上げた招き猫もあります。「バンザイ」ポーズにも見えますが、「お手上げ」ポーズととらえる人もいるようです。

上げた高さでも意味が違う(写真はイメージ)【写真:写真AC】
上げた高さでも意味が違う(写真はイメージ)【写真:写真AC】

○耳より高く上げている
遠くからの福を招くとされ、何年か先の願い事に向いています。

○耳付近に上げている
身近な福を招くとされています。直近の願い事に向いています。

商売繁盛から縁結びまで 色にも意味の違いが

色にそれぞれ意味がある(写真はイメージ)【写真:写真AC】
色にそれぞれ意味がある(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 色にもバリエーションがあり、それぞれに願い事の解釈があります。伝統的なものは白、黒、赤です。

○白
商売繁盛、開運招福。古くから一般的な色。白に模様がついたものも多くあります。

○黒
魔除け、厄除け。黒猫は夜でも目がきくことから、日本では「福猫」と呼ばれています。

○赤
病除け、長寿健康。古くから赤い色は疫病の神が嫌う色と言われていました。

 この他、黄(金)は金運アップ、ピンクは恋愛成就、青や緑は家内安全や学力向上、交通安全など。願いによって色で選ぶ楽しみもありますね。

持ち物や顔の表情もさまざまに“進化”!?

持ち物や表情もいろいろ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
持ち物や表情もいろいろ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 招き猫といえば小判を持っているのをイメージする方が多いと思いますが、初期の招き猫は特に持ち物がなく、首輪に鈴をぶら下げたものが一般的だったようです。それぞれの産地に伝わる技法やデザインを駆使して作られる中で、小判を持っているものが作られたと言われています。ちなみに小判に書かれている金額は「千両」「万両」「千万両」などで、時代とともに桁が大きくなっているそうです。

 金額の他に「開運」「福寿」「合格」など縁起の良い言葉が書かれたものも。また小判の代わりに、魚のタイや打ち出の小槌、だるまなどを持っている招き猫もいます。福を招いて願いを叶えるために、持ち物もどんどん“進化”しているのかもしれません。

 顔の表情もバリエーション豊か。スリムでキツネ顔だったり、ややふっくらした体形で大きな目が印象的な顔だったり。時代や地域によって顔の作りや表情にも個性があります。

 招き猫は身近な存在なのに、その誕生はさまざまな説があってミステリアス。いつの間にか私たち日本人の暮らしに福を招くモチーフとして浸透し、親しまれています。コロナ禍で記念日にちなんだ関連イベントは中止や延期になっていますが、せっかくですからお気に入りの招き猫を見つけてお迎えするのも良いですね。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu