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「私、これで友情切りました」―50代女性たちの友やめ事件簿

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

人生の大きな節目、50代。人間関係に変化が訪れる人も(写真はイメージ)【写真:写真AC】
人生の大きな節目、50代。人間関係に変化が訪れる人も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 人生を半分過ぎた節目でもあり、子どもたちが巣立つ50代。人生100年時代といわれる現在では、未来の自分を見つめ直す過渡期にあるとも言えます。60代、70代になって体が思うように動かなくなる前に……と、自宅を片付ける人も増えますが、“片付く”のは物だけではなく人間関係にも言えるようです。「50代で友人関係を清算した」という女性たちに話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

40年来の友情に終止符を打つ日

 関東地方在住の麻里さん(仮名・52歳)には、小学生の頃からずっと仲良くしてきた親友・佳奈子さん(仮名)がいました。中学、高校は同じ学校へ。大学は別でしたが、同じアルバイト先を選びました。そのため家族以上に一緒にいる時間が長かったといいます。

 互いに就職した後も交流は続きました。結婚して子どもが生まれてからも月に1度は会い、3日と空けずに電話やメールをし合うほど密な付き合いをしていたそう。しかし、その友情は約40年を経た今、破綻を迎えてしまいました。

 仲違いの原因は、佳奈子さんの再婚。昨年の秋に入籍を知らされた麻里さんは、心から祝福したそうです。しかしその後、佳奈子さんの再婚相手と何度か顔を合わせると、その数回で「もう十分」と思うほど嫌な印象を受けたといいます。

「道ですれ違う人に対して、文句を言ったりケチをつけたりするんです。声に出すから一緒に歩くのが恥ずかしくて。食事マナーの悪さも気になりました。それでも、佳奈子に対してはちゃんと気を使っているように思えたので、私は何も言えなかったんです」

 ところが、結婚から2か月、3か月と時間が経つにつれ、佳奈子さんに変化が。麻里さんは佳奈子さんに対し違和感を覚えていきました。

「『相手の色に染まる』って、こういうことを言うんだ……と感じるほど、佳奈子は変わっていきました。食べ方が汚くなり、顔を合わせれば誰かの愚痴ばかり。たとえ離婚した元夫であっても、誰かの悪口を言うことのない子だったのに……」

 悪い方に変わってしまった佳奈子さん。麻里さんは連絡を受けることが次第につらくなり、先日ついに「悪口ばかり言っていると、良い人生を送れないよ?」と注意してしまったそうです。すると翌日、佳奈子さんから驚きの言葉が返ってきました。

「夫に相談したら、麻里の方が間違ってるって言われた。そんなこと注意する麻里がおかしいって!」

 麻里さんはそんなメールを読み、「ああ、もうダメだ……」と、白旗を掲げました。

「お互いの価値観がずれてしまった以上、付き合いを続けるのは無理だと思い、こちらから連絡することをやめました。佳奈子からはまだしつこく電話やメールが届きますが、電話は音が鳴らない設定にしています。メールはフォルダを振り分けて読んでいません」

 麻里さんは家族以上に長年仲良くしてきた佳奈子さんと、50代になって縁を切ることになるとは思っていなかったそう。「まさか自分の身に起こるとは……」と嘆いています。