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日帰り登山にも潜む遭難の危険 入山前の準備と装備品 知っておきたい心得とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・山内 亮治

準備するべき装備品5つ 雨具が重要な理由とは

天候の良し悪しにかかわらず「防寒」の観点から雨具(レインウェア)は特に重要な装備品(写真はイメージ)【写真:写真AC】
天候の良し悪しにかかわらず「防寒」の観点から雨具(レインウェア)は特に重要な装備品(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 では、登山に行くとなった時には何が必要か――。準備するべき装備品とポイントを挙げていただきました。

1. 地図
 自分の体力やレベルに合った山を選んだ上で、地図を必ず携帯。スマートフォン用アプリ(「ヤマレコ」や「YAMAP/ヤマップ」など)を使用する場合は、入山前にダウンロードして使い方を把握しておく。また体力やレベルに見合う山を選ぶ情報として、「山のグレーディング」も参考に。

2. 雨具(レインウェア)
 天候の悪化は標高の高い山から。山麓の天気予報が良くても、急激な天候悪化があった場合に雨風から体温を維持するため必携。

3. ヘッドライト
 捻挫といった怪我や道迷いなどのアクシデントにより下山途中で日没を迎えた場合、登山道は完全な暗闇になり行動が不可能になる。懐中電灯で代用できるものの、両手を空けられるヘッドライトが便利。

4. 行動食
 昼食に加え、チョコレートやゼリー状食品、ナッツ類などの行動食も用意。「余っても良い」という認識で1.5日分を目安に。

5. 水
 1日の登山に必要な水分は約2リットル。塩分補給と怪我などの消毒を目的に、スポーツドリンクと真水を用意するのが良い。

 これら装備の中でも蛭田さんと廣川さんが特に重要性を強調するのが「雨具(レインウェア)」。もし何らかのトラブルに見舞われた時に雨具がなかった場合、山中の風で体温が奪われ低体温症になるリスクが高まるためです。そうなると歩行に支障をきたし、下山は困難に。天候の良し悪しにかかわらず、防寒という観点から非常に重要なアイテムだと言えるでしょう。

入山前に重要な「山岳保険への加入」と「登山計画書の提出」

 入山前には装備品の準備と併せ、“もしも”を想定した対策も欠かせません。蛭田さんと廣川さんによると、そこで重要になるのが「山岳保険への加入」と「登山計画書の提出」です。

 もし遭難した際に救助を要請すると、高額な費用がかかることも。民間ヘリコプターは飛行1時間あたりで40~50万円程度が相場だそうです。また山岳遭難捜索の専門家が出動すれば、1人当たり1万円から3万円の日当も発生するといいます。

 高額な救助費用をカバーするためにも加入しておきたいのが山岳保険。1日当たり数百円のかけ捨てタイプなら、インターネットやコンビニからでも加入できます。

 保険以外に加入を検討しておきたいサービスは、会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」。4015円の年会費(税込)で発信機型会員証が貸与され、全国の山域で捜索が可能になります。登山を行う頻度などからじっくり考慮したいところです。

「登山計画書の提出」も入山前にしなければならないことの一つ。その理由は、もしもの事態が起こった場合に捜索の初動を早めるためです。「登山計画書が出されていなければ救助隊が捜索に出られず、初動捜査が5日ほど遅れたというケースも聞いています」と廣川さんは話します。

 ただ、登山計画書を作っても登山口に提出ポストがあるとは限りません。パソコンやスマートフォンから登山計画書が提出できるサービス(「コンパスEXPERT」など)を使うのも一つの方法です。

 加えて「登山計画書の提出だけではなく『いつ帰るか』を周囲に伝えておいてほしい」と蛭田さん。家族や身近な人に具体的な帰宅時間を伝えておくと、その時刻が過ぎた場合、警察に早く連絡できます。そうすると、アクシデントに見舞われていても命の危険はぐっと低いものに。

 危険性や準備するべき装備品の理解に加え、「どの山に行き、いつ帰るか」という情報も周囲と共有した上で登山を安全・安心に楽しみたいですね。

参照:警察庁生活安全局生活安全企画課「令和2年における山岳遭難の概況」
   JMSCA公認 夏山リーダー講習会テキスト(基礎編)

(Hint-Pot編集部・山内 亮治)