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【私の家族】料理家・栗原心平 元保護猫をお迎え 2匹の愛猫は家族つなぐ「“麹”のような存在」

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

現在は断然“猫派” きっかけは幼少期に保護した野良猫

猫と料理で家庭円満!【写真:荒川祐史】
猫と料理で家庭円満!【写真:荒川祐史】

 犬も飼ってみたいと思ったことは何度かあるんです。でも、やっぱり猫がいい。僕が猫派になったのは小学生の時。忘れもしない、映画『二百三高地』を観ていた時、外でニャーニャー鳴く声が聞こえてきました。

 けど、子どもだったし、戦争映画を観ていたのでものすごく怖かったんですよ。なのでなかなか外へ見に行けなくて。それでも勇気を出して見に行ったら、野良猫が鳴いていました。半分シャムが入っているのか、とてもきれいなメスの猫で。

 最初、姉に「アップル」って名前を付けられて、幼心にどうしようかと思いましたが、出張から帰って来た母が「ギャビ」という名前に変えていました。ギャビはフランス語圏の名前ガブリエラの短縮形。「良かった~」って思ったのを覚えています。このギャビが抜群に人懐っこかったんです。23年生きて大往生だったんですが、母は未だにギャビを思っていて「他の猫は飼えない」と言っています。

 僕はいわゆる“カギっ子”でしたが、猫と料理があったから幼少期に寂しさを感じたことはありませんでした。栗原家では子どもが夕食作りを担当していて、親が帰ってくるまでに作り終えていましたね。両親ともに多忙でしたが、すごく円満な家庭でした。

 そんな体験から、「料理ができて損をすることは絶対にない。子どものうちから料理を覚えれば人生の幸福感が高まるはずだ」と感じて、小学1年生から中学3年生までのオンラインクッキングスクールを立ち上げました。子どもの習い事にはいろいろ種類があるので料理は後回しになりがちですが、親から子どもに「ありがとう」を伝えやすいのは料理。生き物を飼うのと同じように、子どもの心を育てる効果が高いと思います。

 話は戻りますが、我が家は猫と料理のおかげで家族も家庭も平穏です。父が一昨年に亡くなってから、週末は母や姉と我が家で食事会をするのが習慣になりました。

 そういえば最近、ギャビしか飼えないと言っていた母が「讃くん、引き取ろうか?」と言い出したことも。讃は本当に良い子だし、ウサが来てからしばらく落ち着かない様子が気になっていたのでしょう。もちろん讃は譲りませんが、虎視眈々と狙われていたようです(笑)。

 子は鎹(かすがい)と言いますが、猫はもっと熟した「麹(こうじ)」みたいな存在。熟成した家庭作りに、欠かせない生き物だと思いますね。

◇栗原心平(くりはら・しんぺい)
1978年11月20日、静岡県下田市生まれ。(株)ゆとりの空間 代表取締役社長。料理家・栗原はるみの長男で、幼い頃から得意だった料理の腕を生かし、自身も料理家としてテレビや雑誌など多様なメディアで活躍。仕事で訪れる全国各地のおいしい料理やお酒をヒントに、ごはんのおかずやおつまみにもなるレシピを提案。「男子ごはん」(テレビ東京系)レギュラー出演。2021年8月より、小中学生を対象としたアーカイブ動画視聴型オンライン料理教室「ごちそうさまクッキングスクール」を開講。

(和栗 恵)

和栗 恵(わぐり・めぐみ)

恋愛コラムニスト・ライフスタイルライター。1970年東京都生まれの B型。雑誌、ウェブ、ドラマCD、ゲームシナリオ制作など、さまざまな媒体を手がける。男女の本質的な違いに着目した独自の恋愛論・結婚論を、ティーン誌、青年誌、ママさん向けウェブなどで展開中。著書にA型夫とB型妻との生活を描いた「毎日がグチLove B型妻 VS A型夫(笠倉出版社)」、「そして、ありがとう…ー犬とわたしの12の涙ー(日本文芸社)」などがある。