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藤井聡太三冠を目指して 親が知っておきたい「日本文化」としての将棋の素晴らしい側面
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敗北宣言によって決着するのは日本の将棋のみ
将棋にはどのようなイメージをお持ちでしょうか? 2人で行う室内ゲーム、という方が多いと思います。確かに将棋はゲームです。しかも、ただのゲームではなく現在のルールになって400年以上、未だに必勝法がない、つまり解明されていないという世界に誇れる素晴らしく完成度の高いゲームです。
この点だけ見ても、将棋は一生趣味として楽しむ価値があるのですが、それだけではもったいない。なぜなら、将棋には「日本文化」としての素晴らしい側面があります。それを知れば、将棋を子どもたちに習わせる魅力は何倍にも増します。
例えば、将棋は2人で行うゲームで、最終的に決着、つまり勝敗が決まります。この時、将棋では「投了」という手続きをもって決着します。投了とは、負けを認めた側が「負けました」と意思表示をすることです。実は、世界中のあらゆるスポーツ、ゲームなどにおいて、この投了という敗者の意思表示、敗北宣言によって決着するのは日本の将棋のみです。
負けたら必ず「負けました」と言わなければなりません。負けを受け入れ、自分の口で相手や周囲に告げる、という行為は、慣れないと大人でも非常につらいものです。「勝ち組」という言葉に代表されるような、とにかく利益、プラスを求める発想で固まってしまった頭では、「負けました」と頭を下げる行為には抵抗感が伴うはずです。でも、そのつらい行為を必ずしなければなりません。それが将棋の作法なのです。
この投了という作法には、日本独特の「潔さ」という大切な精神文化が凝縮されています。潔い、という感覚は日本人なら誰しもが心の奥底にあり、深い説明は要しないものです。負けを認めることはつらくても、認めた先に得られる心地よさがあります。潔さを実践する機会は、日常生活にはなかなかありません。しかし、将棋にはこの潔さを対局(将棋を指すこと)で味わい、体感できる仕組みが組み込まれているのです。