獲れる季節で主な栄養価が違う

　カツオはたんぱく質、脂質、カリウムやビタミンA、Dなどが豊富。しかも、高たんぱく質で低カロリーと言われる食材。戻りガツオと初ガツオに栄養価の違いはあるのでしょうか？　日本食品標準成分表2020年版（八訂）に基づいて解説します。

　漁獲の季節で見ると、戻りガツオ（秋獲り）はエネルギー量150キロカロリー、脂質6.2グラム、水分67.3グラム。一方の初ガツオ（春獲り）はエネルギー量108キロカロリーで、脂質0.5グラム、水分72.2グラムです。脂がのって今おいしい戻りガツオは、水分が減ったぶん脂質が多くなるのでエネルギーが高くなります。トロガツオとも呼ばれていますね。

　脂質が多いといっても、カツオの脂質は近年注目される多価不飽和（たかふほうわ）脂肪酸のオメガ3脂肪酸で、DHA（ドコサヘキサエン酸）やEPA（エイコサペンタエン酸）と呼ばれるものです。DHAは脳の活性化、EPAはコレステロールや中性脂肪を減らして動脈硬化などを予防する効果が期待できます。現代人が摂取したい栄養素の一つです。

　またビタミンAとビタミンDも戻りガツオの方が多めです。目や皮膚の粘膜を丈夫にして免疫力アップを促すビタミンA（レチノール活性当量）は、戻りガツオに20マイクログラム、初ガツオに5マイクログラム。カルシウムの吸収率を上げる働きがあるビタミンDは、戻りガツオに9マイクログラム、初ガツオに4マイクログラム含まれます。