インタビュー

大企業を辞め“大人のためのバレエ”で起業した女性 「とても生きやすくなった」理由とは

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

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自身も30歳からバレエを始めたという藤井治子さん。中高年の生徒さんの「ありがとう」に支えられてレッスンする【写真提供:藤井治子】
自身も30歳からバレエを始めたという藤井治子さん。中高年の生徒さんの「ありがとう」に支えられてレッスンする【写真提供:藤井治子】

 さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は、大阪・淀屋橋で中高年世代の健康作りにバレエを活用した運動プログラムを提供する「ハピバス(Happy Ballet Stretch)」の代表・藤井治子さんの後編です。30歳から始めたバレエで心身ともに健康になった藤井さんが描く壮大な夢、そして将来に不安を抱きながら一歩を踏み出せない女性へのアドバイスとは。

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何度も石橋を叩いて決意「挑戦せずに終わってしまう人生は…」

 大学卒業後、一部上場企業で事務職に就いていた藤井さん。収入は安定していたものの、自分の仕事が誰かの役に立っているのか実感が持てず、30歳を迎える頃から「このまま続けていていいのかな」と悩み始めたそう。

「もう少し未来に希望を持ちたい、何かやりたいことが見つかればいいのに……と思いながら働いていました」

 未経験だったバレエを思い切って始めたのも、ちょうどこの頃。心に秘めた思いがバレエとの出合いを導いてくれたのかもしれません。

 バレエで自身が健康になり、仲間たちもどんどん輝きを増していく。そのポジティブな効果を中高年世代の女性にも伝えたいと、縁あって始めた老人ホームでのボランティア活動を続けるうち、心に変化が生まれました。

「ボランティアとして老人ホームでバレエを教えるようになって、だんだん『私のやりたいことはこれだ』という意識が芽生えてきました。その過程はちょっと楽しかったですね。ただ、長年働いた会社ですし、定年までいれば安定した生活があるのは分かっている。逆に、起業すれば急に何の保証もなくなってしまう。2年くらいは悩みました」

 石橋を繰り返し叩いても、仕事として「バレエを通じた健康作りを多くの人に届けたい」という気持ちは変わらず。この思いは信じて大丈夫だと確信したそうです。そして、貯金はいくらあるのか、借金はいくらまで背負えるのか、と具体的に計算をしながら「どこまで勝負できるか」を想定。「5年勝負して形にならなかったら会社員に戻ろう」と覚悟を決めました。

「挑戦せずに終わってしまう人生は、あとから後悔すると思ったんです。挑戦して失敗するのであれば、きっと後悔はないはず。そう思えたので踏み切りました」

 もう一つ、藤井さんの背中を押したのは老人ホームで中高年代の参加者たちからかけられた、心からの「ありがとう」という言葉。「人生で初めてというくらいやりがいを感じられました」と、当時を振り返る声は弾み、今でも大きな笑顔が浮かびます。