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猫のミイラも初公開 最新CT技術が明かす古代エジプトの物語 「大英博物館 ミイラ展」

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

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「カルトナージュ棺に納められたネスペルエンネブウのミイラ(前800年頃)」と「子どものミイラ(後40~後55年頃)」。右側がCTスキャン画像から作成した3次元構築画像。大英博物館蔵(c)The Trustees of the British Museum
「カルトナージュ棺に納められたネスペルエンネブウのミイラ(前800年頃)」と「子どものミイラ(後40~後55年頃)」。右側がCTスキャン画像から作成した3次元構築画像。大英博物館蔵(c)The Trustees of the British Museum

 英ロンドンにある「大英博物館」が所蔵するミイラ6体などが並ぶ特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」が、「国立科学博物館」(東京都台東区)で始まりました。ミイラの内部を解き明かすために最先端のCTスキャンを採用。会場ではその内部を3次元構築画像で復元し、映像で展示しています。日本だけの特別企画として、鳥類学者で冒険家の蜂須賀正氏(はちすか・まさうじ)氏がエジプトで入手し、同館に寄贈していた「猫のミイラ」も初公開。その匂いが再現されたコーナーも併設されています。期間は来年1月12日(水)まで。

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死後の再生を願いミイラを制作 包帯の下には護符や装身具も

 約2000~3000年前に生きた人々の素顔に迫る特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」が10月14日から東京・上野で始まりました。

 会場に並ぶ6体のミイラは性別も年齢もさまざま。ロンドンの大英博物館のスタッフは包帯を解かずにその内部を探りたいと、最新のCTスキャンを用いて解析しました。1体につき7000枚ほど撮影した写真をつなぎ合わせて映像化。そのデータが会場で公開されています。

 6つの物語は「アメンイリイレト テーベの役人(前600年頃)」のミイラで幕開け。豊かな領地を管理していたと推定される男性のミイラは、美しい装飾が施された内棺の中で厚さ12センチにもなる亜麻布の層で覆われ、豪華なビーズネットが胸部から足首を覆うように置かれていました。その丁寧な埋葬からは地位の高さなどをうかがい知ることができます。

 宗教施設「カルナク神殿」で祠堂の扉を開け、聖油を捧げることを職務にしていた「ネスペルエンネブウ テーベの神官(前800年頃)」のミイラには、永遠の命を得る手助けをすると信じられていた護符や装身具が包帯の中に安置されていたことが分かりました。棺にはハヤブサとタマオシコガネ(フンコロガシの一種)で表された太陽神(ケプリ神)やオシリス神といった、死者に新たな生命を与える力を持つ主要な神々を象徴する文様が色鮮やかに描かれています。

 ミイラ作りが始まった時期は不明ですが、古代エジプト人は亡くなった人が来世で復活するためには遺体の保存が必要と信じていたよう。神の属性を持つ神聖な体に作り変えられることで再生を願ったとされています。

 ローマ支配時代から増加したとされる子どものミイラも公開。ミイラ職人たちが使用していた道具、信仰の象徴である護符や像、装身具など約250点の貴重な品が展示されています。

 国立科学博物館の坂上和弘さんは「これまでのエジプト展は、ツタンカーメン王のような有名な人物にフォーカスすることが多かったですが、今回はさまざまな社会、時代に生きてきた人たちを展示していることが特色。生前の暮らしに思いを馳せて」と呼びかけています。