Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

“反抗期”がないケースもある今時の子どもたち それでも思春期に衝突する理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:杠 ともえ

大学生、社会人になっても親と一緒

 親との距離がとても近いのは、中高生男子に限ったことではないようです。大学生や社会人になっても親離れをしない子どものエピソードを耳にしました。

 夫の同僚Fさんは、この春に一人息子を地方の大学に進学させました。「ようやく子育てが終わった」と喜んだのもつかの間、息子からヘルプの電話が。

「朝に目覚まし時計を鳴らしても布団から起きられない。このままでは授業に遅刻して単位を落としてしまう。食事も作れないから、僕と一緒に住んで!」

 Fさんは息子の求めに応じて仕事を辞め、夫を自宅に残して息子のアパートに転居。しかし、入学後半年ほどで息子は親に無断で大学を自主退学し友人と起業。Fさんはきまりが悪そうな様子で、元の会社に戻ってきたのでした。

 また、知人のSさんはずっと親元で暮らす社会人3年目の息子に対し、「仕事にも慣れてきたし、会社の近くにアパートを借りて一人暮らしをしてみたら」と勧めてみたそう。息子には彼女がおり、Sさんは喜んで出ていくと思っていました。しかし、息子は「仕事から帰って自分で食事や風呂の用意をするなんて、絶対に無理」と拒否。

 それでもSさんは何とか説得して、一人暮らしをさせることに成功。しかし、息子が見つけた住まいは自宅から1駅離れたアパートでした。それからは、仕事が終わると毎日実家に立ち寄り、夕食を食べてからアパートに帰宅。また、週末も実家で過ごしているそうで、Sさんは「これでは何のためにアパートを借りたのか分からない」と嘆いています。

それでも発生する親子の衝突 ホルモンの逆転現象が原因!?

 いくら現代の子どもの多くは反抗期がないとはいえ、親と子の間で小さないさかいは多々あるでしょう。そんな時の対処法として、私は前述の保護者会で聞いたスクールカウンセラーの話を思い浮かべます。いわく、思春期の子と親が衝突する原因は「ホルモン」が深く関係しているとか。

「思春期を迎えた息子さんは、男性ホルモンの分泌が盛んになります。一方、お母さんは女性ホルモンが減少する時期に入ります。このホルモン量の逆転現象が、家庭内でトラブルの発端になるのです」

 激しく増減するホルモンに翻弄され、イライラしてしまうのは母親も息子も同じ。子が思春期を迎える時期は、ちょうど親子ともに気分が変調する時期でもあるそうです。この解説を聞いて、ほっと安心したお母さんは私だけではなかったはず?

 小さなケンカはどの家庭でも日常的に起こります。そういう時は「体内では今、ホルモンの嵐が吹き荒れている。この暴風雨に巻き込まれて自分を見失ってはダメ!」と心の中でつぶやけば、少し気持ちが軽くなるかもしれませんね。

(杠 ともえ)

杠 ともえ(あかなし・ともえ)

大学卒業後、メーカーで半導体の営業、アメリカ留学、番組制作AD、編集記者、ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、保育士などを経験。自身は小学校から大学まで、すべて地方の公立校卒。一人息子が都内の私立中高一貫・男子校に在学中。女子高出身で、さらに兄弟がいない環境で育ったため、摩訶不思議な男子の生態に翻弄される日々を過ごす。