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ドムドムハンバーガー“再生”の道 「人の話を聞く」姿勢で見えたブランドの未来とは
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「絶滅危惧種を救おう!」とファンがインターネット上で宣伝
固定観念にとらわれないドムドムが仕掛ける新しいチャレンジ。真っ先に反応したのは消費者でした。1990年代にスーパーマーケット「ダイエー」内のフードコートで全国展開した際、そこでハンバーガーを食べた思い出のある世代が懐かしさを込め、「あのドムドムが何だか面白いことをやっている」とSNS上で発信。瞬く間にメディアの注目を受けて“バズり”ました。
今、ドムドムに再注目する“オールドファン”は「絶滅危惧種を救おう! と応援してくださっている」と、藤崎さんは感謝します。
「購買して救うだけではなく、店舗数が少ないので共感して賛同することも救う一手になると感じて、皆さんがインターネット上で盛り上げてくださっている。応援し続けてくださる方々は、メディアで取り上げられる度に『ここでも紹介されている』と喜ぶと同時に、『自分の思いが通じた。一緒に盛り上げた』と感じてくださっているんじゃないかと感じます。子どもの頃の思い出が作り出す愛着や期待が込められているんだと、ありがたく思います」
隠れたヒット商品でもあるオリジナルマスクは当初、店舗のレジ横で販売していました。しかし、ファンのリクエストを受けてECサイトで販売すると、累計16万枚以上を売り上げる展開に。一時は絶滅危機にあった店舗も、今では「もっと店舗数を増やしてほしい」といううれしい声が毎日届くほどです。そうした声にすぐ応えたい気持ちも山々ですが、守っていきたい思いがあります。
「お客様一人ひとりにとって、その店舗がどういう意味を持つかということが大切なので、むやみに何百店舗に増やしますということはまったくありません。一つひとつの店舗を丁寧に、思いを込めながら作っていきたいと思います。会社として思いを一つにしながら、求められることに対してしっかり足腰を据えながらスピーディに対応する。そこが大事だと思っています」
ファンの応援に支えられながら、次第にパワーアップしていく現在のドムドムは「本当に幸せだと思います」とやわらかな笑顔を浮かべます。
「幸せですよね。だからこそ、上滑りをしないように真摯に向き合わなければいけないと思います。ちゃんとお客様の声を聞き、本当に求められているものは何かを真摯に受け止めて実行していくことが大事ですよね」
消費者の声を聞きながらも、想像の半歩先をいくアイデアで好奇心をくすぐるドムドムの挑戦。次はどんな驚きが待っているのでしょうか。
東京都出身。下町のせんべい店に生まれ、政治家を務めた父の元で育つ。青山学院女子短期大学卒業後、年上の政治家と21歳で結婚し長男を出産。39歳まで専業主婦だったが夫が病に倒れ、縁あってアパレルショップ店長として働き始める。新橋の居酒屋でアルバイトとして勤務した後、自ら女将として起業。常連客に誘われて「ドムドムハンバーガー」のメニュー開発顧問として「手作り厚焼きたまごバーガー」をヒットさせ、正式入社に至る。その後はわずか9か月で社長になると「丸ごと!!カニバーガー」などが大ヒット。業績回復に一役買っている。
(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)