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食物繊維たっぷりの長芋 年2回ある旬の違いとは? 食感を変化させる調理法4つ
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教えてくれた人:和漢 歩実
エネルギーが低めで食物繊維も豊富
長芋は、山芋(やまのいも)類の一種。薬膳では「滋養強壮」や「老化防止」に関係する食材として古くから注目されています。食欲が落ちる暑い時期に食べることが多いと思いますが、乾燥が気になるこれからの時期こそ取り入れたい食材です。体を潤しエネルギー量も低めで食物繊維も含まれているので、美容とダイエットが気になる人の強い味方ともいえそうです。
日本食品成分表2020年版(八訂)を基に100グラムあたりの栄養価を見ていきましょう。
長芋のエネルギー量は64キロカロリー。他の山芋類を見ると、イチョウ芋が108キロカロリー、大和芋が119キロカロリー、自然薯が118キロカロリーなので、最もエネルギー量が低くなります。ちなみに、タンパク質の栄養価を評価する「アミノ酸価」は97(最高値100)。必須アミノ酸の「ロイシン」が少なめです。
ロイシンの多い食品としては動物性タンパク質を含む魚や肉、乳製品が知られています。ダイエットの視点で考えるならば、卵やカツオ節、“畑の肉”と呼ばれる大豆の加工品、納豆や豆腐などと一緒に食べると、長芋に不足するアミノ酸を補いタンパク質の栄養価を上げることができるのでおすすめです。
特徴として、長芋はでんぷん(糖質)分解酵素「アミラーゼ」が多いです。これは長芋自体に含まれる糖質はもちろん、ごはんなどに含まれる糖質の消化も助けてくれます。エネルギー代謝に関係するビタミンB群も比較的多めです。アミラーゼやビタミンB群は熱に弱いので、生のまま食べると良いでしょう。
また、ネバネバのぬめり成分「ガラクタン」は水溶性の食物繊維。水に溶けやすい性質で粘着性があるので、胃から腸への移動に時間がかかり、食べすぎや血糖値の急激な上昇を防ぐことが期待されています。各研究が行われていますが、機能性成分としては抗インフルエンザウイルスの「ディオスコリン」や抗認知症に「ジオスゲニン」などが知られています。
調理法で食感が変わる! 旬を楽しもう
生で食べても、焼いてもおいしいところが長芋の特徴。また切り方で食感が変わるので、いつもの料理にひと工夫すると、新しいおいしさを発見できるかもしれません。長芋の切り方や食感を紹介します。
1. すりおろす
すりおろしてネバネバとろろに。加熱すると食感がふわふわとして、風味が良くなります。豆腐やごはんにのせてトロトロ感を、お好み焼きやハンバーグ、コロッケの具と混ぜてふわふわ感を楽しんでください。グラタンにもおすすめです。
2. 切る
短冊切りや拍子木切りにして生食でサラダなどに。シャキシャキ感が楽しめます。汁物に入れても適度な食感が残っておいしいです。
3. たたく
皮をむいて2~3センチの輪切りにしたら袋に入れて綿棒でたたきます。断面が粗くなり調味料が絡みやすいので、和え物にどうぞ。
4. 焼く
皮をむいて適度な厚さの輪切りにして焼きます。長芋ステーキはホクホクした食感になり、満足感ある一品に。
味は淡泊ですが、切り方一つでいくつもの「顔」を見せてくれる長芋。旬を上手に取り入れてみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾