仕事・人生
気になっていた“苦手分野”で起業 東大卒女性が自身の経験から立ち上げたサービスとは
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市原さんにとって仕事は「自分の成長を実感できる場所」
結婚、出産、そして3度の入退院を繰り返した長男の闘病。ライフステージの変化は人生に大きな影響を与えるものです。それでも妻として、母として、そして1人の人間としての人生も諦めなかった市原さん。「仕事を諦めようと思ったことは?」との問いに、「それはありますよ」と答えてくれました。
「自分ではすべてを手にした感覚はまったくなくて。未だに毎日『本当にこれでいいのかな』って思いながらいろいろなことをやっています。自分でこういう人生を選んだのか、逆に選ばされてきたのかも分からない感じです。
仕事に関しても、たくさんの投資家さんたちにダメ出しされ、断られ続けてきました。そういう時はやっぱりへこむので、『この先、続けられるかなあ』って思いながら進んできたんです。決して楽な人生ではなかったですね。
それでも、長男の病気がなかったら起業していなかったと思うんです。夫からも『社員であるという立場を一度手放すと、その先は分からないから最後の最後までしがみついていた方がいい』とアドバイスされていました」
市原さんが仕事を続ける理由。それは、仕事が「自分の成長を実感できる場所」だからだといいます。
「母として、妻としていろんな立場の中での成長ってあると思うんですけど、自分が一番成長を実感できるのが仕事。成長しているとか、新しいことができるようになったっていう実感がすごくうれしいんです」
そんな市原さんだからこそ、アクセンチュア時代の経験から同じように悩む女性は多いはずだと考え、パーソナルスタイリングサービスを立ち上げることができたのかもしれません。市原さんにとってファッションは「苦手なものほどずっと気になるみたいな、そういう存在」。苦手なものに正面から向き合った結果、今では同じように悩む女性たちの心のよりどころになっています。
コロナ禍で、予定していた出店計画は変更せざるを得ませんでした。それでも、市原さんは諦めてはいません。「ようやくちょっと収束の兆しも見えてきているので、出店を考えたい」と語り、起業家としては「リゾート地に出店することが夢」だと続けます。
「日常に疲れた女性がリゾート地に来て、癒やされて、そこでスタイリングサービスを受けて、自分をリフレッシュして、また日常に帰る。自分もそこに移住したいな、なんてちょっと夢を見ています(笑)」
東京大学教養学部卒業。「アクセンチュア株式会社」と「ルイ・ヴィトンジャパン株式会社」でカスタマーリレーションシップマネジメントに従事。ベンチャー企業への転職後に長男の病気が発覚し、より自由な働き方を求めて起業を選択した。2014年12月に「モデラート株式会社」を設立し、自分のクローゼットにある洋服をシーンに合わせてプロがスタイリングするパーソナルスタイリングサービスをスタート。2018年9月に自身のファッションブランド「SOEJU」を立ち上げ、同時にサービス名を「SOEJU personal」に変更した。着やすい素材、合わせやすいデザインが揃うブランドは、30~50代女性を中心に愛されている。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)