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ホウレン草の“アク抜き”はなぜ必要? ビタミンAの吸収率を上げる食べ方とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

季節で変わるビタミンC量 根元の赤い部分は?

根元の赤い部分にも栄養がある(写真はイメージ)【写真:写真AC】
根元の赤い部分にも栄養がある(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ホウレン草といえば「緑黄色野菜の王様」。βカロテンをはじめ、ビタミンC、B群や鉄、カリウム、カルシウムなどのミネラル、食物繊維が豊富なことで知られています。

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、100グラム(生)のエネルギー量は18キロカロリーと低め。また、“夏採り”と“冬採り”で比べると、ビタミンCの量が異なります。夏採りが20ミリグラムに対し、冬採りは60ミリグラムで3倍です。

 冬の野菜は一般的に、寒さで凍らないように糖分を蓄えるため糖度が高くなるといわれています。冬のホウレン草を甘く感じるのはこのためでしょう。また、寒さに当てて栽培することで糖度をアップさせた「ちぢみホウレン草」は冬の時期だけに楽しめる野菜です。

 根元の赤い部分には、抗酸化作用が期待されるポリフェノールや骨の形成に必要なマンガンが含まれています。十字に切り込みを入れてしっかり汚れや土を落とし、積極的に食べたい部分です。

アク抜きはしっかり ビタミンAの吸収率を上げる食べ方とは

ホウレン草のソテー(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ホウレン草のソテー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ホウレン草の代表的な料理といえば、ソテー、おひたし、ゴマ和えなど。どれも素材のおいしさを味わえるものです。「ホウレン草の生食は避けた方が良い」といわれる理由は、シュウ酸(アク)を含むため。シュウ酸は結石の原因ともいわれていますが、沸騰した湯に塩を入れて1~2分茹でて、水にさらすとほとんどが流出します。

 これが「アク抜き」です。電子レンジで加熱調理するのも時短という点では良いですが、シュウ酸の除去を考えると、アク抜きをする方が良いでしょう。おいしそうな色味もキープすることができますよ。ソテーの時も下茹でをおすすめします。

 また、ビタミンA(βカロテンは必要時に体内でビタミンAに変わる)は脂溶性のビタミンであるため、油とともに摂取することで吸収率が上がります。エネルギー量は高くなりますが、ソテーは冬の時期に摂取したいビタミンAをいただくには理に適った食べ方といえるでしょう。

 おひたしにも、仕上げにゴマ油やオリーブオイルをちょい足しすると良いでしょう。ゴマ和えは、ホウレン草のシュウ酸がゴマに含まれるカルシウムの吸収率を下げるため良くないといわれますが、アク抜きでシュウ酸を除去すれば問題ありません。

 まだまだ寒い日が続きますが、特にビタミンA(βカロテン)とビタミンCは風邪に対抗する体作りには欠かせない栄養素。旬のおいしいホウレン草を、バランス良く食卓に取り入れたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾