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仕事・人生

2022年も要注目の濱田マリさん “安定感”を感じさせる理由は「歳のせいもあるのかな」

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

バンド活動から俳優へ チャレンジしながら身につけたスキル

――濱田さんといえば、モダンチョキチョキズ。この世界でのキャリアはミュージシャンとして始められたと思いますが、俳優のお仕事を始められたきっかけは?

 90年代前半頃のバンドブームという時代の流れに乗って、メジャーデビューをしました。5年弱くらい活動しまして、私はボーカルだったんですが、ミュージックビデオを撮る時、監督さんがいて、演出があって、歌いながら演じる体験をしたんです。こういうお仕事、いつかしてみたいなとバンド活動の後期は思っていました。

 そんなわけでバンド活動が停止になった時、周りの人に「わたくし、お芝居をやってみたいです」と大きな声で言っていたんです(笑)。そうしたら日本テレビの水田伸生さんという監督さんが、明石家さんまさんが主演されている連続ドラマ「恋のバカンス」(日本テレビ系)の恋人役で起用してくださった。

 映像のお仕事は初めてでしたが、さんまさんはじめ素晴らしいキャストさんと、めちゃくちゃ優しいスタッフさんに支えられて、「想像以上に面白い!」という手応えを得て少しずつ現場で学んでいきました。

 同時にナレーションでも声をかけていただくことがあって。ナレーションも、ボイストレーニングや発声などのトレーニングを受けたことがないので、それが正解かどうかいまひとつ分からないんですが、チャレンジしながらスキルを身につけていきました。

 歌手でデビューした時から30年少しになりますが、その中で作ってきた引き出しも、「これですか? こっちですか?」と選択できるくらいには貯まってきたように思います。

――演じる仕事には正解がないといいます。正しい道が明確にない中で軌道修正できるのはすごいなと思います。そうした対応能力はどうやって身につけたのですか?

 五十数年間生きている中で会った方とのコミュニケーションで得たものがベースなんでしょうね。これまで蓄積したことをベースに、会社の社長や学校の先生、看護師さんがこの局面になった時どうするかをイメージするというか。

 ちょっと難しいと感じる役がなぜ難しいかというと、自分の人生とあまりに違いすぎて想像が追いつかないからなんです。でも現場でやってみて、周りの役の方の言動とかで何となく見えてくる。だから「この役で悩みました」みたいのは、今のところありません。

 主人公を演じられている方なんて朝から晩までやっている。すごくタフだなと思います。私、拘束時間短いので(笑)。だからすごく楽しくいられるのかもしれませんね。

――「カムカム」のヒロイン、深津絵里さんについては?

 深津さんはタフなので私たちが心配するには及ばないんですが、「カムカム」で3~4日ほど撮影が空くと「どうやって笑ってもらおう」って考えてましたね。あの時期はずっと和子になっていて、深津さんではなく「かわいいかわいい、るいちゃん」だと思っていたというか。

 今考えると、ちょっと怖い気もしますが、なかなか役が抜け切れなかったような(笑)。「カムカム」の世界が現実の世界よりもすごく楽しかったから、現実に戻ってきたくなかったのかな、なーんて(笑)。

(関口 裕子)