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レディー・ガガ 渾身で表現した実在スキャンダル 時代を超えて浮かび上がるものとは
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パトリツィアとレディー・ガガ 大きく異なる点とは
そんな時に離婚を切り出され、置き去りにされる。重要だと思っていたものが否定された時、パトリツィアは“価値があるもの”をサバイブさせようと判断したのだ。それは“「グッチ」という王国を支配する自分”だった。
記者に「もし作品にエピソードを付け加えるなら」と無茶ぶりされたガガが、「なぜ殺人が起きたのか、その背景にあるものをより明確にする」として語ったのは、パトリツィアが脳腫瘍に罹患していたという事実だ。離婚の際、パトリツィアは脳腫瘍と闘うことになったが、マウリツィオも家族も見舞いには行かなかったという。
そんなパトリツィアとガガが大きく異なるのは、「有名になることが苦手」という点だ。ガガは「長年、自分の人生に意味や目的、価値があるのかという考えに取りつかれてしまう実存的危機に脅かされてきたため、よりプライベートな生活に憧れている」のだと語る。
それでも、撮影現場でのガガは18か月間にわたり、パトリツィアであり続けた。彼女はこれまでも、自分の体や心を追い込みながら、より過激な作品作りに取り組んできた。「なぜそうするのか」という問いに、「芸術に苦しむことには若い頃から恋愛感情のようなものがあった。その感情が時々、自分を追い込んでしまう」とも答えている。
しかし、この撮影では最後の数日間、メンタルヘルスの専門家から助けを借りたという。ガガが大人になって何が一番変わったのかと言えば、たぶんこの部分だろう。「限界まで自分を追い込むべきではない」「もしそんな気持ちになったら、助けを求めてもいいのだ」と。またそうすることが、自分を支持してくれる若いファンへの責任だと感じているのかもしれない。