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東京パラ銅メダリスト 美馬アンナさんに明かした複雑な思い 競技と勝利のバランス
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対談シリーズ第7回 車いすラグビー日本代表・倉橋香衣選手に聞く東京パラ五輪
先天性上肢形成不全のため、右手首から先がなく生まれた2歳の男の子「ミニっち」の母であり、俳優・タレントの美馬アンナさん。出産直後は「あれもできない、これもできない」と将来を悲観していましたが、今目に映るのは「あれもできる、これもできる」と元気いっぱいに育っていく愛息の姿だといいます。
美馬家の日常が誰かの勇気や希望になることを願い、プロ野球の千葉ロッテマリーンズで活躍する夫の美馬学投手とともにSNSなどで積極的に発信。同時に、健常者と障害者をつなぐきっかけ作りのために、さまざまなジャンルの方と対談して学びと理解を深めています。
今回の対談相手は、車いすラグビー日本代表として東京パラリンピックで銅メダルを獲得した倉橋香衣選手(AXE)です。代表チーム唯一の女性である倉橋選手は、大学時代のトランポリン事故が原因で車いす生活に。そのリハビリ中に車いすラグビーと出会い、心を奪われました。そんな倉橋選手に、今回の前編では東京パラリンピック(以下東京パラ)を振り返っていただきます。
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銅メダル獲得も「金メダルを目指していたので、やっぱり悔しくて…」
美馬アンナさん(以下アンナ):今日はオンラインながらお会いできて本当にうれしいです。東京パラでは車いすラグビーをずっと見ていたので。
倉橋香衣選手(以下倉橋):そうなんですね。私もうれしいです!
アンナ:大きな感銘を受けました。特に男性の中、女性1人で戦っている倉橋さんの姿が本当に衝撃的で。「じょ、女性?」とびっくりして、そこから釘付けになりました。家ではもちろん、移動中も見ていました(笑)。
倉橋:そこまで見ていただけたんですね。ありがとうございます!
アンナ:倉橋さんにとって東京パラはどんな体験になりましたか。
倉橋:東京パラ出場を目指してやってきたので、代表メンバーとして本当に全力で楽しみましたし、最後まで一生懸命戦い抜くことができました。ただ、チームとしては金メダルを目指していたので、銅メダルという結果がやっぱり悔しくて。獲れなかった悔しさと、応援してくれた皆さんに金メダルを届けられなかった不甲斐なさとが入り混じり、自分でも経験のない感情が湧いてきました。コロナ禍の中でも開催され、プレーできたことはすごく感謝していますし、うれしかったです。
アンナ:ご自身でも知らなかった感情に気付いたのですね。
倉橋:そうですね。負けてもここまでドーンと落ち込む経験は今まであまりなかったので、やはりこの大会にみんなで懸けてきた思いの強さや準備の大変さが、そうさせたのかもしれません。