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油揚げの“油抜き”はなぜ必要? カロリー低減のメリットも 確実な方法は茹でること
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教えてくれた人:和漢 歩実
いなり寿司やみそ汁の具材、煮物などさまざまな料理に使われる油揚げ。調理の際に下ごしらえとして「油抜き」をすることが多いですが、そのメリットとは一体何なのでしょうか? 古くから日本の食卓で親しまれてきた油揚げについて、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
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なぜ油抜きをするのか 大きなメリットは2つ
油揚げは、薄く伸ばして水分を切った豆腐を油で揚げたものです。古くは豆腐を日持ちさせるための知恵とされ、江戸時代の頃には庶民の間に広まったといわれています。大豆を原料としているため栄養価が高く、良質なタンパク質が豊富。全国にはご当地油揚げが存在するなど、広く親しまれている食材の一つです。
調理の際には、まず湯を通して油を取る「油抜き」をすることが一般的です。理由は諸説ありますが、昔は古い油で揚げていたため臭いが気になり、油抜きをしていたことが受け継がれているとの見方もあります。
現在は新しい油を使っているので、臭いが気になることは少なくなりました。しかしながら、油抜きをすると時間が経過して酸化した油を取り除けるので、調理前に少しだけ手間をかけてみてはいかがでしょうか。油抜きのメリットは2つあります。
【油抜きのメリット】
1. 調味料やだしが染み込みやすくなる
しっかりと油抜きをしてから煮ると、油っぽさがなくなりおいしく仕上がります。
2. 脂質をカットできるためエネルギー(カロリー)を減らせる
2のエネルギーを減らせることについて、100グラムあたりの違いを日本食品標準成分表2020年版(八訂)で見ていきましょう。
○エネルギー量
油抜きしていないもの:377キロカロリー
油抜きしたもの:266キロカロリー
○脂質
油抜きしていないもの:34.4グラム
油抜きしたもの:23.4グラム
ただし、油抜きをすると他の栄養価も減ります。たとえばカルシウム(310ミリグラムから230ミリグラムに)、鉄(3.2ミリグラムから2.5ミリグラムに)などです。