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上白石萌歌の人気に加速 『KAPPEI カッペイ』のヒロイン役も話題 “愛される”理由とは
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何に対しても好奇心とリスペクトを失わない姿 多くの人が好感を抱く理由
萌歌はたぶん、好ましいものも、そうでないものも、受け止める時に痛みを感じることはないように思う。むしろ、それが何であれ、好奇心が先に立っているのではないか。
ただし、必要なもの、自分には必要ないものの判断は明確だ。受からなかったオーディションに執着することなく「ご縁だ」と割り切るように。
そして、もし自分には必要ないと判断しても、ケンカ腰に切り捨てるのではなく大切にリリースする。まるで夜空にホタルを放つかのように。そうできるのは、きっと萌歌が、自分に合わないだけであってどちらもリスペクトしているからだろう。
そんなふうに何に対しても好奇心とリスペクトを失わない萌歌に、多くの人が好意を抱く。ただ彼女は現状維持を良しとせず、前へと進むバイタリティを持つ人物なのだと思う。
俳優ともシンガーとも肩書をはっきりさせないのは、自身が表現活動を続けていきたい場所を区切りたくないのだろう。やがてくる未来には、たぶん彼女が予感するように表現のジャンルなどなくなっている。そんな気がする。
『KAPPEI カッペイ』 2022年3月18日 全国東宝系にてロードショー (c)2022 映画『KAPPEI』製作委員会 (c)若杉公徳/白泉社(ヤングアニマルコミックス)
(関口 裕子)
関口 裕子(せきぐち・ゆうこ)
映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。