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『ナイル殺人事件』で個性的な母親役 子育てを終えて「成長期」迎えた米有名女優

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

子どもたちが巣立った後は「成長期」に マーベル作品にも出演

 ベニングのキャリアプランはかなり完璧に近いのではないかと思う。34歳の時に第1子を出産して以降、時々2~3年のブランクを作りながら子を産み、育ててきた。第1子出産後は“コケティッシュ”な役も封印した。夫と共演した『めぐり逢い』以外は。

 作品選びは内容もさることながら、ロケーション撮影で長期間家を空けないことが優先された。子どもたちのために。そのため30年弱にわたり、彼女の仕事は家の近くで撮影が行われるものに絞られた。

2004年の「ケネディ・センター名誉賞」授賞式には夫妻と4人の子どもたちで出席【写真:Getty Images】
2004年の「ケネディ・センター名誉賞」授賞式には夫妻と4人の子どもたちで出席【写真:Getty Images】

 だが、2019年初めに末っ子がジュリアード音楽院に入学し、米ニューヨークへ旅立った。今ロサンゼルスの家にいるのは、アニングとベイティ、そしてニューファンドランド犬の2人と1匹。そうなってからベニングは「もっと旅をしたい。自分の限界を広げたい」と思うようになったという。「子どもが日常からいなくなった後、信じられないような成長期を迎えた」のだと。

 アクション大作『キャプテン・マーベル』(2019)のウェンディ・ローソン/スプリーム・インテリジェンス役を薦めたのは子どもたちだった。ベニングは、自分が「体にぴったりとしたメタリックなジャンプスーツに身を包み、高性能のAIを演じたことに今でも驚いている」という。「子どもたちが熱心に薦めなかったら絶対に出演しなかっただろう」とも。

『キャプテン・マーベル』はベニング出演作品中、最高額の興行収入となった。でも彼女がぜひ自分の力を試したいと思う作品は、それとは異なる大人の観客の心に静かに語りかける作品なのだそう。