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サードウェーブコーヒーの波がフランスにも カフェの本場パリで起こる大きな変化
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コーヒー業界の新たな潮流がフランスにも 変わり続けるカフェ事情
そんなさまざまな役割を果たしているフランスのカフェも、この数年、特にパリでは様変わりしています。
5年ほど前から世界的に流行している“サードウェーブコーヒー”の波がパリにも到来。一見さんには少し入りづらい感じの典型的なローカル店が根強く残る一方で、それまでめったに見かけなかった自家焙煎の豆でフィルターコーヒーを出すようなカフェが増え始めました。そうしたお店には同じ趣向を持つ人たちが集まって、若いオーナーとコーヒー談義で盛り上がるような、また別のコミュニティ感が漂っています。
雰囲気やインテリアも、サードウェーブコーヒーが盛んなオーストラリアやニュージーランドのようなモダンな造りに。アボカドトーストといった流行りのヘルシーフードを置いていたりして、客層も若めです。
対照的に、古いパリのガイドブックに出てくるような典型的な昔ながらのカフェを復興させようとするムーブメントも。新進気鋭のデザイナーがあえてそうした「トラディクール」(トラディショナル+クールの造語)スタイルのカフェを仕掛けたりもしています。
とはいえ、フランス国内のカフェは年々減っていて、30年後には今の半分になるのではないかと言われています。理由はアルコールを扱うライセンスの問題や値段の高騰、人々の生活習慣の変化など、さまざまです。
「カフェは学校と同じ。カフェのない町には魂がない」と言われ、人口数100人程度の何もない村にもカフェだけはあるというのがフランスの風景でした。しかし、英国でもパブが減っているように、時代とともにフランスのカフェ文化も移り変わっているようです。
(小川 由紀子)
小川 由紀子(おがわ・ゆきこ)
ブリティッシュロックに浸りたい一心で渡英。ロンドンで約8年暮らした後、隣の芝が青く見えてフランスへ。以来パリを拠点に、サッカーやバスケットボールなどスポーツの取材を中心に活動中。「ここはアフリカか!?」というようなディープなエリアに生息しつつ、遅咲きのジャズピアニストデビューを目指して鍵盤と格闘する毎日。