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どうぶつ

ドイツには野良猫がいない! 現地サッカーライターが移住後に知った国内の動物保護

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

愛猫家が多いドイツ 住居のバルコニーや庭には猫の姿が

散歩中の軒先で出会った君。その温もりは決して忘れません【写真:島崎英純】
散歩中の軒先で出会った君。その温もりは決して忘れません【写真:島崎英純】

 そう、ドイツには猫愛好家が非常に多いのです。スーパーマーケットでは猫缶やカリカリ、猫砂などの品揃えが充実していて、人と猫との共生が確かに育まれているのを感じます。また、住居のバルコニーや庭の広い家では時折、猫がゆっくりくつろいでいる姿を見られることも。ドイツでは終生を屋内で暮らすことが猫にとっての幸せであるという観念が根強く、それが野良猫の保護意識が強まる傾向として表れているようです。

 2020年3月半ば、ドイツ国内も新型コロナウイルスの猛威にさらされてロックダウンなどの厳しい規制が敷かれました。独り身である当時の僕は孤独感に苛まれましたが、その時に気を紛らわすための日課としていたのが散歩でした。

 約6キロの道のりを1時間ほどかけて歩く中、僕は幸運にも何匹かの猫たちと出会いました。“彼”、もしくは“彼女”は住処の軒先などで優雅に日向ぼっこをしていて、その愛らしい姿で僕の心を癒やしてくれました。そのうちの1匹は残念ながら2021年の秋に虹の橋を渡ってしまいしたが、僕の手にそっと寄り添って佇んでくれた優しい温もりを今でも忘れられません。

 こうしてますます猫への愛着が深まり、ドイツで猫とともに生きたいと思うようになりました。その実現までにはさまざまな障害や問題があり、またその覚悟も問われるでしょう。それを踏まえた上で、ドイツで暮らす日本人がどうすれば猫と共生できるのか。本連載では、その過程を綴りたいと思います。

 そこで次回は第一の関門、住居先のアパートメントのオーナー、熟年のフラウ(Frau=ドイツ語で女性の意)に「猫を飼いたい!」との意思を示すまでの経緯についてお話ししたいと思います。

(島崎 英純)

島崎 英純(しまざき・ひでずみ)

1970年生まれ。2001年7月から2006年7月までサッカー専門誌「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画出版社刊)編集部に勤務し、Jリーグ「浦和レッドダイヤモンズ」を5年間担当。2006年8月にフリーライターとして独立。2018年3月からはドイツに拠点を移してヨーロッパのサッカーシーンを中心に取材活動を展開。子どもの頃は家庭で動物とふれあう環境がなかったが、三十路を越えた時期に突如1匹の猫と出会って大の動物好きに。ちなみに犬も大好きで、ドイツの公共交通機関やカフェ、レストランで犬とともに行動する方々の姿を見て感銘を受け、犬との共生も夢見ている。