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80年代「伝説の花組」はなぜ誕生したのか? 元トップ高汐巴さんが語る宝塚の世界

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

芸能生活50周年を迎えた高汐巴さん【写真:荒川祐史】
芸能生活50周年を迎えた高汐巴さん【写真:荒川祐史】

 高汐巴さん(※「高」ははしごだか)が宝塚歌劇団花組のトップスターに就任したのは1983年。現在は俳優として活躍し、今年は初舞台50周年を迎えます。宝塚の世界をOGたちの視点からクローズアップする「Hint-Pot」の新企画「Spirit of タカラヅカ」。高汐さんのインタビュー第2回は、トップスターになろうという自覚がなかった中で聞いた“ある噂”のお話から始まります。トップ就任までの過程には、どのような心境の変化があったのでしょうか。今や伝説にもなっている当時の花組をまとめ上げ、一つの舞台を作っていく上での情熱や苦労話などをフリーアナウンサーの竹山マユミさんが伺いました。

 ◇ ◇ ◇

「高汐さんはトップにならない」…聞こえてきた噂話に奮起

竹山マユミさん(以下竹山):自分がトップスターになるという自覚はあったのでしょうか。

高汐巴さん(以下高汐):私、まったくなかったんです。「そういう時期に飄々としていた」って植田紳爾さん(宝塚歌劇団専属の演出家。現在は特別顧問も務める)がおっしゃっていたくらいで。トップがどうこうというのは、あまり考えたことなかったですね。でも、そんな時に“ある噂”を聞いたんですよ。

竹山:どんなお話だったのですか。

高汐:ある日、宝塚のファンの方々の間で「高汐さんはトップにならない」という噂が流れていると聞きました。私は悔しさをバネに頑張るタイプなので「それなら(トップスターに)なってやろうじゃないか」という気持ちが芽生えました。

竹山:トップスターになると決めたことで、具体的に何が変わったのですか。

高汐:感覚的なものですが、舞台への取り組み方や責任感も変わってきました。またそんな中、下級生による公演(新人公演)で主役をさせていただくようになって、「やっぱりセンターでやるのはすごく張り合いがある」と思ったんです。「よし! どうせやるならトップを目指そう」という明確な目標を決めましたね。