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今から見頃! 奈良の都で咲き誇る希少品種・ナラノヤエザクラ 専門家に聞く深い歴史

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

室町時代の能「八重桜」の復曲も 数年かけて準備へ

 このように、日本の歴史や文化にも深い関わりをもつナラノヤエザクラ。上田さんが会長を務める「奈良八重桜の会」は、周知と保護、育成を目標に活動しています。

「具体的には講演会や映写会、コンサート、お茶会などを実施しています。奈良公園内の桜にプレートを付けているのも私どもです。また室町時代に作られ、その後は長く演じられていない能『八重桜』の復曲も目指しています」

 能「八重桜」は、春日明神に参詣した臣下が花守の翁から春日山縁起を聞いた夜、水谷明神が本体を現し、名木の奈良八重桜を称えて舞を舞うという物語です。

興福寺寺務老院の多川俊映さん(右)と「奈良八重桜の会」の上田トクヱさん【写真提供:奈良八重桜の会】
興福寺寺務老院の多川俊映さん(右)と「奈良八重桜の会」の上田トクヱさん【写真提供:奈良八重桜の会】

「興福寺とゆかりが深い桜なので、興福寺の薪御能でこの物語を上演し、末永く後世まで語り継いでほしいという思いがあります。3月31日まで実施していたクラウドファンディングで120万円を調達しましたので、今後は数年をかけて準備をする予定です。発見された古い台本に節と型をつけて復曲するのに約1年、その後に2年かけて演者さんが初演に備えます」

 可憐に咲く美しい花で、いにしえから多くの人々を魅了し続けているナラノヤエザクラ。今年の見頃はちょうど今頃からと予想されています。美しく咲く姿を通して、日本の歴史や美を堪能しつつ、今年の春を見送ってみてはいかがでしょうか。

(Hint-Pot編集部)