仕事・人生
「おいしくな~れ!」と思いながら削る 人気かき氷店オーナーが描く未来の夢とは
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「氷を中心に据えながら」続けていきたい新たな挑戦
かき氷屋をオープンするまで、呉服店や銀行、レストランといったキャリアチェンジを重ねてきた岡田さん。その頭の中には、次なるチャレンジの青写真が浮かんでいます。
「『ほうせき箱』のスタッフの中には、自分でお店を開きたいという人たちもいるので、ここを巣立っていろいろな街で愛されるお店ができたらいいなと思います。同時に『ほうせき箱』を継いでくれる人が現れたらいいな、と。氷を削る、メニューを作るという技術的なことだけではなく、地域との関わりや氷室神社さんとのご縁、他のかき氷屋さんとのお付き合いなどをしっかりと理解した上でできる人が現れたら、譲ろうと思っています」
もし「譲ってもいい」と思える後継者が現れたら、岡田さんは次にどんな道へ進むのでしょう。
「最終的には、近所の小学生が『おばあちゃん、かき氷ちょうだい!』と300円とかワンコイン(500円)を握り締めて買いにくると、『ちょっと待ってや~。よいしょ』と腰を上げてかき氷を作る立場になれたらいいなと(笑)。
その前に、海外に氷を削りに行ったり、日本全国を回りながらかき氷以外の方とコラボしてご縁を作ったり、今の枠組みから飛び出して新しいことをやってみたいと思います。今も甘葛煎(あまづらせん)という古代の甘味料を研究していらっしゃるところにお邪魔したり、たくさんのご縁をつないでいただいているので、氷を中心に据えながらいろいろなことができたらいいですね」
新型コロナウイルスの影響で海外との行き来が制限される前、岡田さんと共同経営者の平井宗助さんには「海外に『かき氷』という言葉を広めて、かき氷を食べるために日本に来る海外の方を増やしたい」という目標がありました。そんな風にいつの日か、かき氷が日本の食文化として海外でも広く知られる「Sushi」や「Tempura」のような存在になることを願ってはいますが、「Sushi・Tempura・Kakigori」を合言葉に据えた活動は一時休止中です。
「平井の希望は、月に1度ほど手動のかき氷機を背負って海外へ行き、地元の食材で作ったかき氷を地元の子どもたちに食べてもらうという地道な活動だそうです」
共同経営者の2人がそうして近い未来へ思いを馳せられるのも、岡田さんによると「今のスタッフが頑張ってお店を守ってくれるおかげ」。「自分の名を残したいという思いは全然ないんですよ。『ほうせき箱』が紡ぐ長い歴史の一部を担えたら、それで十分」と語る笑顔にはかき氷愛があふれています。