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仕事・人生

YouTubeで話題の“ツナ娘” 20代後半で水産業界に飛び込んだ理由は「父への恩返し」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

新卒時からいつかは家業を手伝うことを想定

脇口水産の社長でもある父の光太郎さんと【写真提供:脇口みづほ】
脇口水産の社長でもある父の光太郎さんと【写真提供:脇口みづほ】

 とはいえ、もちろん突然決めたわけではありません。脇口さんの心には「いつかはお父さんの手伝いを」という思いがずっとあったのです。

「新卒でいろんな会社の面接を受ける中で、『ずっと御社で働くというよりは、いつかは父に恩返しをしたい』と毎回宣言していました。子どもの頃から父の働く姿をずっと見てきています。例えば休日や旅行に連れていってもらった時も、父はずっと仕事の電話をしているんです。

 大変そうにも見えたけれど、『やっぱりすごいな』という気持ちの方が大きく、また『こんな風になりたい』という思いをずっと持ち続けていました。それに、3人兄妹の中では私が一番父に怒られてきたので、父に負けたくないというか、認めてほしいという気持ちの方が強かったこともあります」

 ただし、家族には家業の手伝いを反対されたそう。魚という生物を扱う業界だけに朝は早く、労働内容にはきつさが伴います。もちろん脇口水産にも女性社員はいますが、現場でマグロの解体をバリバリ行う女性社員はいなかったそうです。

「父から『お前は舐めてるんちゃうか?』と言われました。『それなりの強い覚悟を持っていないと絶対に続かないし、今のお前にはまだその覚悟が見えん!』と」

 しかし、脇口さんは本気でした。「実家に帰らなくても、脇口水産のためにできることをやりたい」という思いで、やりたいことを明確にきちんと伝えることに。すると「それやったら、期限付きで結果が出たらいいよ」と許可を得ることができました。

「ちょうど前職がIT企業だったので、コロナ禍でいろいろなことがオンライン化されていく中、『オンラインで何かできるのでは』と考えたのです。例えば、SNSを使った広報活動や販促。そうしたことをメインにやってみたいと伝えました。

 すると父が、『今までのやり方を続けても人は集まらないし、状況も変わらない。だから新しいことをやらなければいけないけれど、そういうことを発案してくれる人もいなかった』と、興味を持ってくれたんです。それで『挑戦したら?』という形でやらせてもらえることになりました」