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仕事・人生

宝塚に“反発”して退団した元男役 振付師として活躍中のはやせ翔馬さんが語る昔と今

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

「甘くはなかった」宝塚の世界 いつしか芽生えた反発心

はやせさんとインタビュアーの竹山マユミさん(右)【写真:舛元清香】
はやせさんとインタビュアーの竹山マユミさん(右)【写真:舛元清香】

竹山:念願の宝塚に入られてからはどんなお気持ちだったのですか。

はやせ:私の中では“もうこれで一生安泰”みたいな感じで、ここで私は最後までいけると思いました。それくらい安心感があったというか、私の道はこれで決まったのだなと思ってうれしかったですね。

竹山:配属になった雪組は、和物(日本物作品)と呼ばれる演目が多い組でしたよね。

はやせ:当時、雪組の男役トップスターだった杜けあきさん(65期)さんは本当に歌も素晴らしく、心に響く表現力を持った方でした。ダンスはいろいろなところで教えていただけますが、ああいう表現や演技は雪組でしか学べなかったので、入らせてもらって本当に良かったなって今でも思いますね。

竹山:自分が目指す方がそこにいてくださるというのは大きいですね。しかし、一生安泰とまで思っていた宝塚を退団しようと思った理由は何だったのですか。

はやせ:やはりそう甘くはなかったということですね。私は研6(入団6年目)で卒業したのですが、だんだん年齢を重ねていくうちに自分の路線が何となく分かってきて、ここでは思いきり踊れないんだなと。また演技では、例えば新人公演で良い役がついても、次はそうでもなくなっていることがあり、私は自分が進む道を勝手に決めてしまったんですね。

 踊ることもあまりなく、“自分は脇役”と決めてしまった時があって、本当に宝塚に反発心を持つというか、すごく不安な気持ちになっていったんです。それこそ、ここを辞めたら宝塚を観ることもないだろうなって思うぐらい、気持ちが外に向いてしまった。そこから辞めようと思うまでは早かったです。

竹山:今、その時のお気持ちを振り返られるといかがですか。

はやせ:そうですね。今思えば、もう少し頑張れたかなとは思います。

竹山:やはり当時は誰かに相談するということもなく、皆さんが個々の中でそういう葛藤を抱えていらっしゃったのでしょうか。

はやせ:思うように事が進まないことを、自分の中で消化できなかったのだと思います。今は思うように進まなくても消化できるようになってきているので、今の自分だったらもう少しやれたかなと思います。なので、もう一度入れていただけるのなら入りたいですね(笑)。